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1)グリコーゲン合成

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今回はグリコーゲン代謝のうちの「グリコーゲン合成」について学んでいきましょう。
まずはグリコーゲンについての基礎的な知識から解説していきます。

1.グリコーゲン代謝

1.グリコーゲンとは

グリコーゲンとは、
グルコースが多数つながった多糖類のことで動物が持つ貯蔵多糖のことをいいます。

生体は、あらかじめエネルギーをグリコーゲンとして貯蓄しておくことで、エネルギーが過剰に必要となる緊急事態に備える仕組みを獲得しているのです。

グリコーゲンのイメージはこちらです↓

一方、植物ではデンプンが貯蔵多糖として用いられており
デンプンにはアミロースアミロペクチンの2種類があります。

これらの違いはグルコースの結合様式の違いなどにありますが
アミロースは「α-(1→4)結合」、アミロペクチンは「α-(1→4)結合α-(1→6)結合の両方」からなっています。
※「α-(1→4)結合」ではグルコースが直鎖状に並び、「α-(1→6)結合」ではグルコースが枝分かれに並びます。

2.グリコーゲンとデンプンの違い

それではグリコーゲンとデンプンの違いを見ていきましょう。

結合様式
デンプン アミロース α-(1→4)結合
(直鎖状)
アミロペクチン α-(1→4)結合とα-(1→6)結合
(直鎖状+枝分かれ)
グリコーゲン α-(1→4)結合とα-(1→6)結合
(直鎖状+枝分かれ)

上表のように結合様式には違いがあることがわかります。
では、アミロペクチンとグリコーゲンは同じなのでしょうか。

アミロペクチンとグリコーゲンではグルコース残基の数やα-(1→6)結合による枝分かれの数が違っています。

グルコース残基の数については「アミロース<アミロペクチン<グリコーゲン」
枝分かれの数については「アミロペクチン<グリコーゲン」となっていることを覚えておきましょう。

また、グリコーゲンやアミロペクチンは還元末端が一つ非還元末端が多数あるということも重要なので覚えておいてください。

※還元末端は「アノマー炭素」に何も結合していないグルコース残基のことをいいます。
ちなみにアノマー炭素は、グルコースなどが環状構造をとったときに立体異性体を生じる部位(α-グルコース、β-グルコースなどと呼ぶ1位の炭素)のことをいいます

3.グリコーゲンを貯蓄する組織と生理的意義

グリコーゲンは、主に肝臓筋肉において貯蔵されていますが
肝臓では血糖値の維持、筋肉では筋肉でのエネルギー源として利用されているという違いがあります。

このことについては、次項「2)グリコーゲンの分解」で詳しく解説しています。

2.グリコーゲン合成

それでは本題の「グリコーゲン合成」について学んでいきましょう。

まず、グリコーゲンを合成するためにはエネルギーが必要で、UTPという高エネルギー化合物が必要であるということを覚えておきましょう。

0.グリコゲニンとは

グリコーゲン合成は何もないところからは開始されません。

最初のグリコーゲンの合成は「グリコゲニン」と呼ばれるタンパク質が担っています。グリコゲニンはグリコゲニン自身にグルコースを7個くらい付加することができ、これがグリコーゲン合成の最初の段階となります。

1.グリコーゲン合成に関わる酵素と反応

グリコーゲン合成に関わる反応として特に覚えておく必要のあるのは
グリコーゲンを直鎖状に伸ばしていく酵素と枝分かれを作る酵素によるものです。

→前者はグリコーゲンシンターゼという酵素、後者はグリコーゲン分枝酵素という酵素が関わっています。

それではグリコーゲン合成の反応について確認していきましょう。

⓪の反応は解糖の最初の反応と同じで「ヘキソキナーゼ」によるものです。

①ホスホグルコムターゼ

グルコース6-リン酸が実質的なグリコーゲン合成のスタート地点となります。

最初の段階では「ホスホグルコムターゼ」という酵素によって
グルコース6-リン酸はグルコース1-リン酸に変換されます。

※ムターゼとは「ある分子の中の官能基(ここではリン酸基)を同一分子中の別の場所に転移を触媒する酵素」のことです)

②UDPグルコースピロホスホリラーゼ

この段階では「UDPグルコースピロホスホリラーゼ」という酵素によって
グルコース1-リン酸はUTPと反応してUDPグルコースになります。

※この酵素は逆反応から名前がついています。
ホスホリラーゼとは「ある化合物と無機リン酸(Pi)とを基質としてその化合物をリン酸化(または加リン酸分解)する酵素」のことです。

逆反応から名前がついているということに注意しましょう。(グリコーゲンホスホリラーゼという酵素がグリコーゲン分解で登場します)

※ちなみにある化合物+ATPの場合はキナーゼといいます。

この段階でUDPグルコースにすることによって、グルコースをグリコーゲン合成に利用できる活性型のグルコースに変換しているということはしっかりと覚えておきましょう。

(UTPはATPのアデニン(A)がウラシル(U)に変わったものでウリジン三リン酸といいます)

③グリコーゲンシンターゼ

この段階では「グリコーゲンシンターゼ」という酵素によって
UDPグルコースがn残基のグリコーゲンに付加し、n+1残基のグリコーゲンを生成されます。

グリコーゲンに付加されるグルコースは
グリコーゲンの非還元末端α-(1→4)結合で付加されます。
つまり、直鎖状にグリコーゲンが伸長します。

※シンターゼは「合成酵素」のことです。
ATPを用いる合成酵素は「シンテターゼ」ですので混同しないように気をつけましょう。

④グリコーゲン分枝酵素

グルコース鎖がある程度長くなると「グリコーゲン分枝酵素」によって
非還元末端のグルコースの一部が切り出されて別のグルコース鎖に付加されます。

この仕組みによってグリコーゲンは枝分かれを増やしていき、全体として複雑な構造をとるようになっていきます。

つまりこの段階によってグリコーゲンの非還元末端の数が増えるので
グリコーゲンを分解するときの作用点が増えることになります。
これがグリコーゲンがエネルギーをより素早く取り出すことができる理由となっています。

※上図のグリコーゲン分枝酵素の反応はあくまでイメージ図です。
実際にはもう少しグルコース鎖が伸長した後に別のグルコース鎖に付加されます。

グリコーゲン合成についてはこれで以上です。
次は「2)グリコーゲン分解」について学んでいきましょう。

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