生化学

2)ペントースリン酸経路の酸化的段階と非酸化的段階

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ペントースリン酸経路の酸化的段階と非酸化的段階

 

黒アザラシ
ペントースリン酸経路ってどのような経路でしたっけ?
ペントースリン酸経路は、簡単に言うと、「グルコース6-リン酸」を異化する過程で、核酸(DNAやRNA)の材料になる「リボース5-リン酸」などの5炭糖(ペントース)を生成するとともに、還元力のある「NADPH」を生成する経路のことでした。
AZARASHI
黒アザラシ
それでは、ペントースリン酸経路が「グルコース6-リン酸」から開始されるのはなぜですか?
「グルコース6-リン酸」は、解糖の第一段階の反応において「ヘキソキナーゼ」と言う酵素によって「グルコース」から生成されていました。そのため、ペントースリン酸経路では、この「グルコース6-リン酸」が出発点となり「グルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼ」という酵素によって酸化されて「6-ホスホグルコノラクトン」を生じることから開始されます。このとき、NADPが還元されてNADPHが生じる点もこの経路の重要なポイントでした。
AZARASHI
黒アザラシ
なるほど、、、ということは、ペントースリン酸経路の「酸化的段階」というのは、グルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼによる酸化反応が含まれるからなのですな。
そうですね、1分子のグルコース6-リン酸が1分子のリボース-5リン酸へと変換される過程(ペントースリン酸経路の酸化的段階)で、NADPH2分子生じます(2つの酸化反応があります)が、概ねそのような考え方であっているかと思います。
AZARASHI

1.酸化的段階

グルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼによる酸化的反応

ペントースリン酸経路の酸化的段階では、
まず、解糖によって生じたグルコース6-リン酸が、グルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)という酵素によって、6-ホスホグルコノラクトンへと変換されます。

この反応は酸化的反応なので、NADPが還元されてNADPHが生じます。

反応式

グルコース6-リン酸+NADP6-ホスホグルコノラクトンNADPH+H

このグルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)による最初の酸化的反応は、ペントースリン酸経路の中でも特に重要な調節段階となっています。

ペントースリン酸経路の酸化的段階

その理由の一つは、グルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)が生成物であるNADPHによって、フィードハック阻害を受けるからです。

このフィードバック阻害の仕組みは、NADPHが必要ではないときにNADPHの産生を抑える働きをしています。

※フィードバック阻害とは、代謝系のある反応を触媒する酵素が、その代謝系の生産物によって抑制される現象のことをいいます。

ラクトナーゼによる加水分解

その後、6-ホスホグルコノラクトンはラクトナーゼという酵素によって加水分解されて、6-ホスホグルコン酸を生じます。

6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼによる酸化的脱炭酸反応

最後に、6-ホスホグルコン酸は6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼという酵素によってリブロース5-リン酸へと変換されます。

この反応は酸化的脱炭酸反応なので、CO2(脱炭酸)とNADPH(酸化)が生じます。

酸化的段階の反応式

グルコース6-リン酸+2NADP+H2O→リブロース5-リン酸2NADPH+CO2+2H

2.非酸化的段階

ペントースリン酸経路から解糖や糖新生の中間産物の産生

ペントースリン酸経路の酸化的段階で生成されたリブロース5-リン酸は、
同じ5炭糖であるキシルロース5-リン酸リボース5-リン酸へと変換されます。

リブロース5-リン酸がエピメラーゼの作用を受けるとキシルロース5-リン酸へと変換され、
イソメラーゼの作用を受けるとリボース5-リン酸へと変換されます。

ここで覚えておきたいのは、リボース5-リン酸は核酸(DNAやRNA)の合成材料になることから、
核酸合成が活発な場合には酸化的段階で生成されたリブロース5-リン酸の多くが、リボース5-リン酸へと変換されるということです。

そのため、核酸合成はそれほど活発ではなく、NADPHのみを作り出したい場合には、
リブロース5-リン酸を解糖や糖新生の中間産物フルクトース6-リン酸グリセルアルデヒド3-リン酸)へと変換してしまう仕組みがあります。

このとき、3分子のリブロース5-リン酸が、
2分子のフルクトース6-リン酸1分子のグリセルアルデヒド3-リン酸へと変換されます。

反応式

3リブロース5-リン酸→2フルクトース6-リン酸+グリセルアルデヒド3-リン酸

AZARASHI
以下では、この反応をもう少し詳しく確認していきましょう。

1. トランスケトラーゼとトランスアルドラーゼによる解糖や糖新生の中間産物への変換

ペントースリン酸経路の非酸化的段階

まず、3分子のグルコース6-リン酸が酸化的段階を経て生じた3分子のリブロース5-リン酸が、
1分子のリボース5-リン酸(5炭糖)と2分子のキシルロース5-リン酸(5炭糖)へと変換されます。

反応式

リブロース5-リン酸リボース5-リン酸+キシルロース5-リン酸

その後、トランスケトラーゼトランスアルドラーゼトランスケトラーゼという順に三段階の反応が行われて、最終的に、2分子のフルクトース6-リン酸1分子のグリセルアルデヒド3-リン酸が生成します。

【トランスケトラーゼ】

リボース5-リン酸+キシルロース5-リン酸セドへプツロース7-リン酸+ グリセルアルデヒド3-リン酸

【トランスアルドラーゼ】

セドへプツロース7-リン酸+グリセルアルデヒド3-リン酸フルクトース6-リン酸エリトロース4-リン酸

【トランスケトラーゼ】

キシルロース5-リン酸+エリトロース4-リン酸フルクトース6-リン酸グリセルアルデヒド3-リン酸

※トランスケトラーゼとは、ケトース基(CH2OH-CO)を他のアルドースと結合させる酵素のことをいいます。
※トランスアルドラーゼとは、ジヒドロキシアセトン基(CH2OH-CO-CHOH)を他のアルドースと結合させる酵素のことをいいます。
※アルドースとは、アルデヒド基をもつ単糖のことをいいます。

解糖や糖新生の中間産物はグルコース6-リン酸へと変換される

3分子のリブロース5-リン酸から生じた
2分子のフルクトース6-リン酸1分子のグリセルアルデヒド3-リン酸は、
その後、多くはグルコース6-リン酸へと変換されます。

このとき、2分子のグリセルアルデヒド3-リン酸から
1分子のグルコース6-リン酸が生成されます。

そのため、6分子のグルコース6-リン酸から生じた6分子のリブロース5-リン酸は、
分子のフルクトース6-リン酸分子のグリセルアルデヒド3-リン酸へと変換され、
その後、再び5分子のグルコース6-リン酸へと変換されます。

1分子のグルコース6-リン酸がペントースリン酸経路で代謝される過程において、
それぞれ酸化的反応が1回酸化的脱炭酸反応が1回ずつ行われることを考えると、
ペントースリン酸経路は次のような式で表すことができます。

この反応式では、6分子のグルコース6-リン酸のうち、
5分子は元のグルコース6-リン酸へと変換されるという「回路」を形成していますので、
ペントースリン酸回路とも呼ばれています。

ペントースリン酸回路

6グルコース6-リン酸+12NADP→5グルコース6-リン酸+12NADPH+6CO2+Pi

ペントースリン酸経路の酸化的段階と非酸化的段階についてはこれで以上です。
次は「1)グリコーゲン合成」について学んでいきましょう。

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