生化学

2)ミカエリス・メンテン式と反応速度論量の決定 (Km値とVmax)

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 ミカエリス・メンテンの式を用いると、反応速度論量(Km値とVmax)を決めることができますが、その前段階として、酵素反応速度の求め方を知っておく必要があります。酵素反応速度の求め方については「1)反応速度と酵素反応速度」で詳しく解説していますので、まずはそちらからご覧ください。

1.反応速度論量の決定 (Km値とVmax)

○ミカエリス・メンテン式

 ミカエリス・メンテン式とは、酵素の反応速度vを速度論的な挙動として表したもので、以下の式で表されます。

$$v=\frac{V_{max}[S]}{K_m+[S]}$$

 ・[S]:基質濃度
 ・Vmax:最大反応速度(基質濃度が無限大の時の反応速度)
 ・Kmv=Vmax/2(最大反応速度の半分の速度)のときの基質濃度[S]

 Kmはミカエリス定数と呼ばれ、Km値をもとに酵素と基質の親和性を知ることができます。すなわち、Km値が小さいと、酵素と基質の親和性は高いということになります。

Km値(最大反応速度Vmaxの半分の速度のときの基質濃度[S])が小さいということは、より少ない基質濃度[S]で最大反応速度Vmaxの半分の速度に達するということです。

 上図は、酵素濃度[E]が一定の条件下で、さまざまな基質濃度[S]における酵素の初期反応速度v0を求めて、プロットしたグラフになります。

 このように、基質濃度[S]を変化させると、酵素反応速度も変化することから、さまざまな基質濃度[S]における初期反応速度v0を求めることにより、ミカエリス・メンテン式で表される曲線を得ることができます。

 ミカエリス・メンテン式で表される曲線は、ミカエリス・メンテン式によって導かれる近似曲線ですが、このままではVmax値とKm値を求めることはできません(コンピュータを用いれば可能)。そのため、ミカエリス・メンテン式を変形し、プロットを直線に近似できるようにする必要があります。

○ミカエリス・メンテン式の変形

 ミカエリス・メンテン式を変形した方程式には、Lineweaver-BurkプロットEadie-HofsteeプロットおよびHanes-Woolfプロットの3つのプロットの仕方があります。

 まずは、もっともよく使われる変換法であるLineweaver-Burkプロットについて見ていきましょう。

○Lineweaver-Burkプロット

ミカエリス・メンテン式の逆数をとって整理すると、

$$v=\frac{V_{max}[S]}{K_m+[S]}$$

$$\frac{1}{v}=\frac{K_m}{V_{max}}\times\frac{1}{[S]}+\frac{1}{V_{max}}$$

となり、これをLineweaver-Burkプロット(ラインウィーバー・バークプロット)と呼びます。Lineweaver-Burkプロットでは、横軸(x軸)に1/[S]、縦軸(y軸)に1/vをとっていることから、二重逆数プロットとも呼ばれます。

 酵素反応の測定結果をもとに、Lineweaver-Burkプロットのグラフを作成すると、Km値とVmaxとを求めることができます。

○Eadie-Hofsteeプロット

 ミカエリス・メンテン式の逆数をとってVmaxを掛けて整理すると、

$$v=\frac{V_{max}[S]}{K_m+[S]}$$

$$\frac{V_{max}}{v}=\frac{K_m+[S]}{[S]}$$

$$V_{max}=\frac{vK_m}{[S]}+v$$

$$v=-K_m\times\frac{v}{[S]}+V_{max}$$

となり、これをEadie-Hofsteeプロット(イーディー・ホフステープロット)と呼びます。Eadie-Hofsteeプロットでは、横軸(x軸)にv/[S]、縦軸(y軸)にvをとります。

○Hanes-Woolfプロット

 ミカエリス・メンテン式の逆数をとって[S]を掛けて整理すると、

$$v=\frac{V_{max}[S]}{K_m+[S]}$$

$$\frac{[S]}{v}=\frac{K_m+[S]}{V_{max}}$$

$$\frac{[S]}{v}=\frac{1}{V_{max}}\times[S]+\frac{K_m}{V_{max}}$$

となり、これをHanes-Woolfプロット(ヘインズ・ウルフプロット)と呼びます。Hanes-Woolfプロットでは、横軸(x軸)に[S]、縦軸(y軸)に[S]/vをとります。

kcat(ターンオーバー数)の決定

 Vmaxの状態は、大過剰の基質が存在するときの反応であり、酵素-基質複合体(ES複合体)を形成していない酵素(E)が無いような状態ですので、Vmax値を酵素の初濃度[E]0で割った以下の式により、単位時間あたりに1個の酵素が行う酵素反応の回数を示したkcatターンオーバー数)を求めることができます。

kcat分子活性とも呼ばれます。

ミカエリス・メンテン式と反応速度論量の決定 (Km値とVmax)についてはこれで以上です。
次は「3)ミカエリス・メンテンの式の誘導」について学んでいきましょう。

合わせて読みたい
3)ミカエリス・メンテン式の誘導

 まずは、ミカエリス・メンテン式がどのような式であったかを再度確認していきましょう。 1.ミカエリスメンテン式  ミカエリス・メンテン式とは、酵素の反応速度vを速度論的な挙動として表したもので、以下の ...

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