栄養学 生化学

4)アミノ酸の炭素骨格の代謝(糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸の代謝)

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 ここまで、アミノ酸に含まれる窒素を代謝する過程を見てきましたが、ここからはアミノ基が取り除かれた後のアミノ酸の炭素骨格の代謝、すなわち、α-ケト酸がどのようにして代謝されていくかを確認していきます。

1.アミノ酸の炭素骨格の代謝

 アミノ酸は窒素代謝を受けた後に、対応するα-ケト酸へと変換されます。このα-ケト酸は、主に以下の2種類の経路によって代謝されていきます。

  1. オキサロ酢酸を経て糖新生によってグルコース合成に利用される
  2. アセチルCoAあるいはアセト酢酸を経てケトン体や脂肪酸の合成に利用される

 このように、糖新生によるグルコース合成に利用されるアミノ酸のことを糖原性アミノ酸といいます。一方、アセチルCoAやアセト酢酸になってケトン体や脂肪酸の合成に利用されるアミノ酸のことをケト原性アミノ酸といいます。

原性アミノ酸の性質をもつアミノ酸には

糖原性アミノ酸

「セリン」「スレオニン」「グリシン」「アラニン」「システイン」「バリン」「アスパラギン」「アスパラギン酸」「アルギニン」「グルタミン」「グルタミン酸」「ヒスチジン」「プロリン」「メチオニン」「チロシン」「トリプトファン」「イソロイシン」「フェニルアラニン」

ケト原性アミノ酸の性質をもつアミノ酸には
 

ケト原性アミノ酸

「ロイシン」「リシン」「チロシン」「トリプトファン」「イソロイシン」「フェニルアラニン」

があります。

※糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸の種類の覚え方については「3)代表的なアミノ酸の分類(糖原性/ケト原性アミノ酸)」で詳しく解説しています。

○糖原性アミノ酸の代謝

 糖原性アミノ酸は、以下のいずれかの過程でオキサロ酢酸に変換されて糖新生経路へと入っていきます。その際、ピルビン酸」「2-オキソグルタル酸」「スクシニルCoA」「フマル酸」「オキサロ酢酸といった中間体のいずれかに変換されて利用されます。

糖原性アミノ酸
ピルビン酸からオキサロ酢酸へと変換されるアミノ酸 : Gly, Ala, Ser, Thr, Cys, Trp
2-オキソグルタル酸になりTCA回路に入るアミノ酸 : Arg, Glu, Gln, His, Pro
スクシニル-CoAになりTCA回路に入るアミノ酸 : Ile, Met, Val

フマル酸になりTCA回路に入るアミノ酸 : Phe, Tyr
オキサロ酢酸になりTCA回路に入るアミノ酸 : Asp, Asn

 

※糖新生について →「1)糖新生の役割
※クエン酸回路について →「1)クエン酸回路の役割

○ケト原性アミノ酸の代謝

 ケト原性アミノ酸は、以下の過程でアセチルCoAに変換されてケトン体合成あるいは脂肪酸合成経路に入っていきます。その際、アセト酢酸」「アセチルCoAといった中間体に変換されて利用されます。

・ケト原性アミノ酸
アセト酢酸(その後アセチルCoAに変換される)に変換されるアミノ酸 : Lys, Phe, Tyr, Trp, Leu
アセチルCoAに変換されるアミノ酸 : Leu, Ile

 

※アセチルCoAから脂肪酸の合成 →「1.脂肪酸合成
※アセチルCoAからケトン体の合成 →「1.ケトン体の生成と利用

アミノ酸の炭素骨格の代謝についてはこれで以上です。
次は「5)細胞内のタンパク質分解システム(ユビキチン-プロテアソーム系とオートファジー)」について学んでいきましょう。

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