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2)グリコーゲン分解

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今回は「グリコーゲン分解」について学んでいきましょう。
グリコーゲンは主に肝臓と筋肉において貯蓄されているということを学びましたが、それらの組織ではグリコーゲンの利用の仕方が異なっています。

今回はそれらの違いと理由について説明できるようになること、グリコーゲン分解に関与する酵素とその反応について理解することを目標に学んでいきます。

1.グリコーゲン分解

 グリコーゲンは血糖値の低下したときに血糖値を維持したり、筋肉でのATP(エネルギー)生成のために使われます。

1.グリコーゲン分解に関わる酵素と反応

 グリコーゲン分解において特に覚えておく必要のあるのは、グリコーゲンの持つ「多数の非還元末端に作用する酵素」と「枝分かれをなくす酵素」による反応です。

 前者はグリコーゲンホスホリラーゼという酵素、後者はグリコーゲン脱分枝酵素という酵素が関わっています。

 それではグリコーゲン分解の反応について確認していきましょう。

グリコーゲンホスホリラーゼ

 最初の段階ではグリコーゲンホスホリラーゼという酵素によって、グリコーゲンの非還元末端加リン酸分解されてグルコース1-リン酸を生じます。このグリコーゲンホスホリラーゼは「α-(1→4)結合」のグルコースを遊離させます。

※ホスホリラーゼとは、ある化合物と無機リン酸(Pi)とを基質としてその化合物をリン酸化(または加リン酸分解)する酵素のことです。

 この反応は「α-(1→6)結合」の分岐点から4つのグルコース残基のところで止まります。このことはグリコーゲンホスホリラーゼによって分解できるグリコーゲンには限界があるということを意味しています。

 つまり、グリコーゲンホスホリラーゼによって分解されたグリコーゲンは下図のような状態でストップするのです。この状態のことを、これ以上加リン酸分解できないという意味で特に限界デキストリンといいます。

グリコーゲン脱分枝酵素

 この段階ではグリコーゲン脱分枝酵素という酵素によって、限界デキストリンの「α-(1→6)結合」が分解されていきます。

 グリコーゲン脱分枝酵素は一つの酵素で2種類の酵素活性を持つ二機能酵素で「グルカノトランスフェラーゼ」活性と「アミロ-1,6-グルコシダーゼ」活性を持ちます。

 前者は枝分かれしている4つのグルコースからなるグルコース鎖のうち、3残基分のグルコースを切り出して主鎖の非還元末端に移します。一方、後者は分岐点に残った残りの1残基のグルコースを加水分解してグルコースを遊離させます。

※実際にはグリコーゲン脱分枝酵素の活性はグリコーゲンホスホリラーゼよりかなり低いです。

言葉の説明では少しイメージがしにくいと思いますので下図をご覧ください↓

 この後「グリコーゲンホスホリラーゼ→グリコーゲン脱分枝酵素→…」と反応が繰り返されて、グリコーゲンからグルコース1-リン酸とグルコースが切り出されていきます。このようにして、グリコーゲン分解の過程では、グリコーゲン1-リン酸とグルコースの両方が遊離されます。

2.肝臓と筋肉でのグリコーゲン利用の違い

 「2-1.解糖」でも学びましたが、グルコースは1分子あたり2ATPを生じます。一方、グルコース1-リン酸は1分子あたり3ATPを生じることができ、この違いが非常に重要なポイントとなっています。

 では、両者がどれくらいの比率で生じるかですが、一般的にはグルコース1-リン酸の割合が90パーセントでグルコースの割合が10パーセント程度であるといわれています。

 このように、グリコーゲン分解で生じるグルコースの大部分はグルコース1-リン酸の形で生じていることがわかります。このためグリコーゲンの主な貯蔵組織である肝臓と筋肉におけるグリコーゲンの利用の仕方については、このグルコース1-リン酸を出発物質として考える必要があります。

 それではグリコーゲン分解の続きとして「グルコース1-リン酸」の行方を確認していきましょう。

ホスホグルコムターゼ

 この段階では「ホスホグルコムターゼ」という酵素によって、グルコース1-リン酸はグルコース6-リン酸に変換されます。

 この酵素はグリコーゲン合成で用いられている酵素と同じものです。(グリコーゲン合成とは逆の反応を行っています)

※ムターゼとは「ある分子の中の官能基(ここではリン酸基)を同一分子中の別の場所に転移を触媒する酵素」のことです。

 この段階までは肝臓と筋肉でグリコーゲン分解の過程は同じなのですがこれ以降が違ってきます。

③肝臓でのグリコーゲンが持つ生理的意義

 肝臓には「グルコース6-ホスファターゼ」が発現しているますので、グルコース6-リン酸をグルコースに変換することができます。

 この酵素は糖新生で用いられている酵素と同じものです。(糖新生も肝臓で行われていました)

 このようにして生じたグルコースは肝臓の「GLUT2」というグルコース輸送体を通って血液中に放出されます。このようにして、血糖値の低下時には肝臓でのグリコーゲン分解が促進され、生じたグルコースを利用して生体は血糖値を維持しています。

 ちなみに、グルコースはリン酸基が付いている状態では細胞膜を通過できません。そのため、グルコース6-リン酸をグルコースに変換することで血液中に放出することができるようにしています。

※GLUTはglucose transporterの略です。
GLUTについては「糖質の利用(作成中)」で詳しく解説しています。

④筋肉でのグリコーゲンが持つ生理的意義

 一方、筋肉には「グルコース6-ホスファターゼ」が発現していないため、グルコース6-リン酸をグルコースに変換することはできません。

 そのため、筋肉でのグリコーゲン分解によって生じたグルコース6-リン酸は血液中には放出されず、筋肉の中で解糖によってエネルギー(ATP)を作るために利用されています。

 

グリコーゲン分解についてはこれで以上です。
次は「3)ホルモンによるグリコーゲン代謝の調節」について学んでいきましょう。

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