今回は「必須アミノ酸と非必須アミノ酸」「糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸」について学んでいきましょう。
1.必須アミノ酸と非必須アミノ酸
○必須アミノ酸
ヒトの場合、アミノ酸の中でも特に体内では十分量を合成することができない 必須アミノ酸 「フェニルアラニン」「ロイシン」「バリン」「イソロイシン」「スレオニン」「ヒスチジン」「トリプトファン」「リシン」「メチオニン」
の9種類のアミノ酸を必須アミノ酸といいます。
これらの必須アミノ酸は食餌から摂取する必要があります。
※非必須アミノ酸は食餌から摂取する必要がないアミノ酸のことですが、生体内では必須アミノ酸と同じく重要な成分です。
必須アミノ酸の合成経路は非必須アミノ酸の合成経路よりも長いことが多く、その必要性と代謝に要するエネルギーの兼ね合いからヒトは進化の過程で必須アミノ酸を合成する遺伝子をなくしたと考えられています。
つまり、非必須アミノ酸は必須であるからこそ、食餌からの摂取による過不足の影響を受けないように体内で合成できる能力が保存されたと考えられているのです。
※「非必須」という言葉自体が生体内において重要な役割を果たしていないというような誤解を生じる可能性があるので非必須アミノ酸と必須アミノ酸はそれぞれ「可欠アミノ酸」「不可欠アミノ酸」と呼ぶこともあります。
○必須アミノ酸の覚え方
こちらは必須アミノ酸の覚え方の中でも特に有名なものです。必須アミノ酸の覚え方の参考にしてみてください。
○制限アミノ酸
必須アミノ酸のうち、最も不足しているアミノ酸は制限アミノ酸といいます。制限アミノ酸はタンパク質の栄養価を決めるときに重要になります。
2.糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸
飢餓状態では、筋肉中のタンパク質が分解され、このようにして生じた「アミノ酸」は、さらに分解を受けることで糖新生やケトン体生成・脂肪酸生成に用いられます。
アミノ酸の代謝の過程で、代謝物として
・オキサロ酢酸またはピルビン酸を生じるものが糖原性アミノ酸
・アセト酢酸またはアセチルCoAを生じるものがケト原性アミノ酸
です。
○糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸の覚え方
まずは糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸の種類を覚えていきましょう。
20種類すべてのアミノ酸が「糖原性アミノ酸」や「ケト原性アミノ酸」ですが、中には「糖原性アミノ酸」かつ「ケト原性アミノ酸」であるものもあります。
まずは、ケト原性アミノ酸を覚えましょう。
※ケト原性アミノ酸の覚え方にはさまざまなゴロ合わせがありますので、自分の好みに合うものを覚えるのが良いと思われます。
次は、糖原性アミノ酸を覚えましょう。
糖原性アミノ酸は20種類中18種類あり、ほとんどのアミノ酸が糖原性アミノ酸です。
例外は、「ロイシン」と「リシン」です。
これらは例外的に糖新生による糖(グルコース)合成の基質にはなりません。糖新生の基質となるアミノ酸(糖原性アミノ酸)は代謝の過程でオキサロ酢酸あるいはピルビン酸を生じますが、「ロイシン」と「リシン」はそれらを生じない点に注意が必要です。
☆糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸がどのように利用されるのかは
「4)アミノ酸の炭素骨格の代謝(糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸の代謝)」をご覧ください。
☆糖新生とケトン体生成について詳しく知りたい方は
こちら→「1)糖新生の役割」と「1)ケトン体の生成と利用」
代表的なアミノ酸の分類についてはこれで以上です。
次は「1)グルコースの構造と性質」について学んでいきましょう。
【参考】