1.奇数鎖脂肪酸のβ酸化
1-1.プロピオニルCoAの生成
脂肪酸のβ酸化では、2炭素単位が繰り返し分解されていきますので、偶数鎖脂肪酸の場合、その炭素骨格のすべてがアセチルCoA(C2)の生成に利用されることになります。
アセチルCoAの構造はこちら↓
一方、細菌やある種の生物は奇数鎖脂肪酸を合成しています。奇数鎖脂肪酸は、偶数鎖脂肪酸と同一の反応経路によってβ酸化を受けていますが、炭素骨格のすべてがアセチルCoAの生成に用いられるのではなく、最終的には、炭素数3つの脂肪酸のCoA化合物であるプロピオニルCoA(C3)が残ることになります。
プロピオニルCoAの構造はこちら↓
1-2.プロピオニルCoAからスクシニルCoAへの変換
哺乳類の場合、このようにして生じたプロピオニルCoAは、以下の3段階の反応経路を経てスクシニルCoAに変換されます。
最初の反応は、プロピオニルCoAに「プロピオニルCoAカルボキシラーゼ」という酵素によってカルボキシ基が付加されます。カルボキシラーゼは、補酵素としてビオチンが必要な酵素のことで、カルボキシ化の過程ではATPのエネルギーを利用します。
このようにして生じたスクシニルCoAはTCA回路に入って、エネルギー源として利用されます。
2.不飽和脂肪酸のβ酸化