生化学(実験手法)

2)RT-PCRによるRNAの検出

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1.RT-PCRとは

 RT-PCR(Reverse Transcription-PCR)とは、RNAを鋳型としてDNAを合成(これを逆転写といいます)した後に、特定のプライマーを用いたPCR法によりDNAを増幅させる操作のことをいいます。このRT-PCRはRNAを検出するために広く用いられている手法になります。

逆転写反応により合成されたDNAはRNAと相補的な配列をもつことから、cDNA(complementary DNA;相補的DNA)と呼ばれています。

ちなみに、このmRNAと相補的な配列をもつcDNAは、遺伝子をコードするDNA領域が選択的スプライシングを受けることで、イントロンが除かれエキソンのみとなったものです。

 通常のPCRでは、鋳型となるDNA配列上の特定の領域(目的のDNA領域)を増幅させることはできますが、RNAを直接増幅させることはできませんこれは、PCPの原理として、DNAを「耐熱性DNAポリメラーゼ」を用いて増幅させているからです。

そのため、RNAを増幅させるためには、一旦cDNAの形に変換してからPCR(これをRT-PCRといいます)を行う必要があります。

このようにRT-PCRでは、mRNAをcDNAに変換させた後にPCRを行う方法になりますが、RT-PCRを行うことによって、少量しか存在しないようなmRNAを増幅して解析することが可能です。また、リアルタイムqRT-PCR法を用いることによって、定量的に遺伝子発現の解析を行うことができます。

最近では、新型コロナウイルス感染の検査として「PCR検査」がよく使用されていますが、この時にはリアルタイムqRT-PCR法が使用されているかと思います。COVID-19(SARS-CoV-2)は一本鎖RNAウイルスですので、ウイルスがもつRNAをcDNA(RNAから人工的に作成した相補的なDNAのこと)へと逆転写反応によって変換し、その後PCRで微量のDNAを感知できる量まで増幅させます。このときリアルタイムPCRでは、増幅されたDNAの二本鎖には「蛍光色素」をインターカレートさせたりすることができますので、この蛍光を検出することによってウイルスの有無を検査することができます。

※ちなみに、RT-PCRの RTはReverse Transcriptionであり、Real timeの略ではないので注意しましょう。qRT-PCRのqは「定量的な」という意味です。

2.RT-PCRの原理

 RT-PCRでmRNAをcDNAに変換するためには、まずRNAのみを細胞から抽出する必要があります。その後、抽出したtotal RNAからmRNAのみを選択的に逆転写しcDNAとします。このときに、mRNAのみと選択的にアニールするプライマーとしてオリゴdTプライマー(Tが重合したプライマー)が使用されます。

 その後、目的配列を挟むように設計した一対のプライマーを用いたPCRにより、目的のcDNA配列を増幅させ、電気泳動によって検出することもあります。

 例えば、ガン細胞と正常細胞で特定の遺伝子の遺伝子発現がどのくらい変化しているかを定量的に調べたい場合には、リアルタイムPCRを用いたリアルタイムqRT-PCR法を用いることで解析ができます。

※真核生物のmRNAはその3'末端には、ポリA鎖(Aが20~200個重合した構造)が付加されていることから、これとハイブリダイズするオリゴdTプライマーを利用して、totalRNAからmRNAのみを逆転写することができます。

※逆転写の過程でオリゴdTプライマーの他に、ランダムプライマーや遺伝子特異的プライマーが用いられることもあります。

 

RT-PCRによるRNAの検出についてはこれで以上です。
次は「3)リアルタイムPCRによる定量PCR」について学んでいきましょう。

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