生化学

1)プリンヌクレオチドのde novo合成

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ここでは、プリンヌクレオチドのde novo合成について確認していきましょう。

プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチド

核酸(DNAやRNAなど)の合成過程では、その原材料であるヌクレオチド塩基およびリン酸からなるDNAやRNAの基本単位)が必要になります。

ヌクレオチドは、結合している塩基の違いによって「プリンヌクレオチド」と「ピリミジンヌクレオチド」の2種類に大きく分類されます。

A(アデニン)とG(グアニン)はプリン塩基と呼ばれ、C(シトシン)とT(チミン)はピリミジン塩基と呼ばれています。プリン塩基とピリミジン塩基は、それぞれプリン環とピリミジン環をもつことに由来しています。

ヌクレオチドのde novo合成とサルベージ経路

まずは、ヌクレオチドの合成について確認していきましょう。

ヌクレオチド合成過程には、アミノ酸などを材料としてヌクレオチドを生合成するde novo合成」と塩基やヌクレオシド(塩基と糖)を材料としてヌクレオチドを再合成するサルベージ経路」の2つがあります。

黒アザラシ
de novoとは、ラテン語で「新たに」という意味です。
黒アザラシ
サルベージとは、「沈没船などの引上げ作業」のことをいいます。このことから、サルベージ経路とは、食事由来あるいはもともと生体内にあった核酸を分解して生じた塩基やヌクレオシド(塩基と糖)を再利用してヌクレオチドを合成する経路のことをいいます。

プリンヌクレオチドの「de novo合成」

それでは、プリンヌクレオチドのde novo合成について確認していきましょう。プリンヌクレオチドのde novo合成

リボース-5リン酸から「PRPP」の合成

プリンヌクレオチドのde novo合成過程ではまず、リボース-5リン酸をもとにホスホリボシル二リン酸PRPP:phosphoribosyl pyrophosphate)が合成されます。

ホスホリボシル二リン酸(PRPP)の構造式
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Phosphoribosyl_pyrophosphate.svg

この反応はリボースリン酸ピロホスホキナーゼ(ホスホリボシルピロリン酸シンテターゼ:PRPP合成酵素とも呼ばれます)という酵素によって行われ、この過程でリボース-5リン酸にATP由来の2つのリン酸(ピロリン酸)が付加されます。

リボースリン酸ピロホスホキナーゼによる反応

リボース-5リン酸+ATP→ホスホリボシル二リン酸PRPP)+AMP

プリンヌクレオチドのde novo合成(PRPPの合成)

リボースリン酸ピロホスホキナーゼによる、PRPPを合成する反応はプリンヌクレオチドによってフィードバック抑制され、この段階はプリンヌクレオチドのde novo合成の調節段階となっています

※キナーゼとはリン酸化酵素のことをいいます。ここでのピロホスホキナーゼとは、ATP由来の2つのリン酸(ピロリン酸)を付加する酵素のことをいいます。

ちなみに、このとき基質となるリボース5-リン酸は「ペントースリン酸経路」から供給されます。

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PRPPから「IMP」の合成

プリンヌクレオチドのde novo合成経路では、ホスホリボシル二リン酸PRPP)が10段階の反応を経て、IMPイノシン酸:イノシン一リン酸とも呼ばれます)へと変換されます。

このPRPPからIMPを生じる10段階の反応過程では、ホスホリボシル二リン酸PRPP)に3種類のアミノ酸(グルタミングリシンアスパラギン酸)と10-ホルミルテトラヒドロ葉酸(ギ酸)およびCO2の炭素(C)や窒素(N)が供給されて、IMPイノシン酸)へと変換されます。

プリン骨格の由来
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Nucleotide_synthesis.svg

IMP(イノシン酸)の塩基はヒポキサンチン(プリン塩基)となっています。つまりこの過程では、PRPPを土台としてヒポキサンチン(プリン塩基)が合成されていきます

プリンヌクレオチドのde novo合成(PRPPから5-ホスホリボシルアミンの合成)

中でも第1段階の反応であるグルタミン-PRPPアミドトランスフェラーゼによる、PRPPにグルタミンを反応させて5-ホスホリボシルアミン(PRA)を生成する反応はIMPやAMP、GMPなどのプリンヌクレオチドによってフィードバック抑制され、この段階もプリンヌクレオチドのde novo合成の重要な調節段階となっています

メモ

PRPPからIMPを合成するための材料・・・
・グルタミン
・グリシン
・アスパラギン酸
・10-ホルミルテトラヒドロ葉酸
・CO2

IMPから「AMP」への変換

IMP(イノシン酸)はアデニロコハク酸を経て、AMPアデニル酸:アデノシン一リン酸とも呼ばれる)へと変換されます。

この過程ではまず、アデニロコハク酸シンテターゼによって、GTPのエネルギーを用いてIMPにアスパラギン酸が付加されて、アデニロコハク酸が生じます。

この反応はAMPによってフィードバック抑制されます

プリンヌクレオチドのde novo合成(IMPからAMP,GMP合成)

その後、アデニロコハク酸リアーゼによってアデニロコハク酸がAMP(アデニル酸)に変換されます。

ここで覚えておきたいのは、IMPがAMPへと変換されるにはGTPが十分量存在することが必要であるということです。

この仕組みによって、AMPとGMPのバランスが保たれています。

IMPから「GMP」への変換

一方、IMP(イノシン酸)はキサントシン一リン酸XMP)を経て、GMPグアニル:グアノシン一リン酸とも呼ばれる)へと変換されます。

この過程ではまず、IMPデヒドロゲナーゼによって、IMPが酸化されてキサントシン一リン酸XMP)が生じます。

この反応はGMPによってフィードバック抑制されます

プリンヌクレオチドのde novo合成(IMPからAMP,GMP合成)

その後、GMPシンテターゼが、ATPのエネルギーを用いてキサンチル酸(XMP:キサントシン一リン酸とも呼ばれる)にグルタミン由来のアミノ基を付加して、GMP(グアニル酸)に変換されます。

ここで覚えておきたいのは、IMPがGMPへと変換されるにはATPが十分量存在することが必要であるということです。

この仕組みによって、AMPとGMPのバランスが保たれています。

プリンヌクレオチドのde novo合成経路のまとめ

以下にプリンヌクレオチドのde novo合成経路の流れをまとめておきます。

プリンヌクレオチドのde novo合成経路

リボース5-リン酸→ホスホリボシル二リン酸PRPP)→IMPAMP,GMP

AMP(GMP)からATP(GTP)の合成反応

最後にAMPやGMPをもとに、ATPやGTPが合成される過程を見ていきます。

AMPとGMPはそれぞれアデニル酸キナーゼグアニル酸キナーゼの作用によって、ADPとGDPに変換されたのち、ヌクレオシド二リン酸キナーゼの作用によってATPとGTPに変換されます。

プリンヌクレオチドのde novo合成についてはこれで以上です。
次は「2)プリンヌクレオチドの再合成(サルベージ経路)」について学んでいきましょう。

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