今回は糖新生の反応について学んでいきますが
そのなかで特に重要な3つの不可逆反応がありますのでしっかりと覚えていきましょう。
1.糖新生の反応
糖新生の反応はその多くが解糖の逆反応ですが、
解糖の3つの不可逆反応は糖新生においても「不可逆反応」となっており
その段階が糖新生の調節段階でもあります。
糖新生の不可逆反応
ピルビン酸からホスホエノールピルビン酸を生じる反応は
直接行われず一度オキサロ酢酸に変換されてから迂回する形でホスホエノールピルビン酸に変換されるということをしっかりと覚えておきましょう。
①ピルビン酸カルボキシラーゼによる
「ピルビン酸+ATP+HCO3-→オキサロ酢酸+ADP+Pi」の反応
→カルボキシラーゼは基質にカルボン酸を導入しカルボキシル基をつける酵素です。この反応ではATPを消費してオキサロ酢酸を生成しています。
②ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)による
「オキサロ酢酸+GTP→ホスホエノールピルビン酸+GDP+CO2」の反応
→カルボキシラーゼではなくカルボキシキナーゼである点に注意しましょう。
この反応でもGTP(ATPと等価)を消費して高エネルギー化合物であるホスホエノールピルビン酸を生成しています。
※PEPCKは糖新生で最も重要な律速段階となっている酵素です。
③フルクトース1,6-ビスホスファターゼによる
「フルクトース1,6-ビスリン+H2O→フルクトース6-リン酸+Pi」の反応
→ホスファターゼは基質を加水分解してリン酸基を奪う脱リン酸化酵素です。
キナーゼなどによってリン酸化された基質を脱リン酸化します。
④グルコース6-ホスファターゼによる
「グルコース6-リン酸+H2O→グルコース+Pi」の反応
②以降の反応(PEP→2-PG→3-PG→1,3-BPG→GAP→…)は細胞質
②の段階で生じたホスホエノールピルビン酸は
ミトコンドリア内から細胞質に移される必要があります。
したがって、オキサロ酢酸はリンゴ酸に変換されて「リンゴ酸-アスパラギン酸シャトル」によって、ミトコンドリア内から細胞質に移されます。
糖新生の反応についてはこれで以上です。
次は「3)糖新生の調節」について学んで行きましょう。
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3)糖新生の調節
今回は糖新生の調節について学んでいきましょう。 糖新生の調節段階も主に不可逆反応にありますので、どの反応が不可逆反応であったかを確認しながら解説していきます。 1.糖新生の調節 糖新生の不可逆反応 ま ...
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