栄養学 生化学

4)コレステロール合成

Sponsored Link

コレステロール合成

3)リポタンパク質と脂質の輸送」では、コレステロールの構造と性質について学びました。ここでは、コレステロールが細胞内でどのようにして合成されているのかを確認していきましょう。

3分子の「アセチルCoA」から「HMG-CoA」の生合成

コレステロール合成の流れ

コレステロール合成の第一段階では、
まず、アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ(チオラーゼ)という酵素によって、
2分子のアセチルCoAが縮合して、アセトアセチルCoAが生じます。

ポイント

2アセチルCoA→アセトアセチルCoA

次に、HMG-CoAシンターゼという酵素によって、
アセトアセチルCoAにさらにもう1分子のアセチルCoAが縮合して、HMG-CoA(3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA)が生じます。

ポイント

アセトアセチルCoA+アセチルCoA→HMG-CoA

「HMG-CoA」から「メバロン酸」への還元

このようにして3分子のアセチルCoAが縮合して生じたHMG-CoAは、
その後、HMG-CoAレダクターゼという酵素によって還元され、メバロン酸へと変換されます。

ポイント

HMG-CoA2NADPH+2Hメバロン酸+2NADP

このHMG-CoAレダクターゼによるHMG-CoAの還元(メバロン酸への変換)は、コレステロール合成の律速段階になっています。

コレステロール合成 HMG-CoAレダクターゼの反応

黒アザラシ
どのようにしてHMG-CoAレダクターゼがコレステロール合成の律速段階になっているのですか?
細胞内コレステロール濃度が上昇した場合、HMG-CoAレダクターゼの発現が抑制されることによって細胞内コレステロールの恒常性が保たれる仕組みが存在しています。高コレステロール血症の治療薬として知られている「スタチン」は、このHMG-CoAレダクターゼの阻害薬で、肝臓のコレステロールの生合成を抑制し、血中コレステロールを低下させる働きがあることも合わせて知っておきたいですね。
AZARASHI
ちなみに、この反応は還元反応ですので、還元力として2分子のNADPHが利用されます。
AZARASHI
黒アザラシ
NADPHはペントースリン酸経路の主要な生成物の一つでしたね。

※ペントースリン酸経路に関しては「1)ペントースリン酸経路の役割」で詳しく解説していますので、興味があれば是非見てみてください。

「メバロン酸」から「スクアレン」への変換

メバロン酸は、その後いくつかの過程(2回のリン酸化と脱炭酸)を経て、5炭素(イソプレン単位)からなるイソペンテニル二リン酸へと変換されます。

このようにメバロン酸を経由してイソペンテニル二リン酸(イソプレノイドの重要な前駆体)などを生合成する経路のことを特に「メバロン酸経路」といいます。

次に、イソペンテル二リン酸は、いくつかの過程を経て、15炭素(3つのイソプレン単位)からなるファルネシル二リン酸へと変換されます。

そして、2分子のファルネシル二リン酸が縮合したものが、30炭素からなるスクアレンという物質になります。

ポイント

メバロン酸→→→イソペンテル二リン酸(5C)→→→ファルネシル二リン酸(15C)→スクアレン(30C)

「スクアレン」から「コレステロール」への変換

スクアレンはその後、いくつかの過程を経て最終的にコレステロールへと変換されます。

ポイント

スクアレン→→→コレステロール

コレステロール合成についてはこれで以上です。
次は「1)ビタミンの種類と性質」について学んでいきましょう。

合わせて読みたい
1)ビタミンの種類と性質

1.ビタミンとは  ビタミンとは、生命活動に必須な微量栄養素のうち、体内で作ることができない(あるいは、必要量を体内で作ることができない)ため、体外から摂取する必要のある有機化合物のことをいいます。 ...

続きを見る

【参考】

Sponsored Link

-栄養学, 生化学

© 2024 Bio-Science~生化学・分子生物学・栄養学などの『わかりやすい』まとめサイト~