カルビン回路(CO2固定)と暗反応
前回は「2)光化学系と明反応」について、光合成における明反応について学びました。ここでは、光合成における暗反応について確認していきましょう。
1.カルビン・ベンソン回路と二酸化炭素の固定
光合成の暗反応とは、二酸化炭素(CO2)を固定して有機物(糖)を産生する反応のことでした。この過程では、明反応において生じたNADPHとATPが利用されます。
この暗反応は、葉緑体のストロマで行われますが、
このストロマには、二酸化炭素(CO2)の固定を行うRuBisCO(ルビスコ:リブロースビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ)という酵素が存在しています。
カルビン・ベンソン回路について
二酸化炭素を固定する暗反応は、その発見者の名前をとって「カルビン・ベンソン回路」とも呼ばれています。
カルビン・ベンソン回路の大きな流れとして覚えておきたいのは
カルビン・ベンソン回路の3つの段階
①二酸化炭素(CO2)の固定
②3-ホスホグリセリン酸(PGA)の還元
③リブロース1,5-ビスリン酸(RuBP)の再生
の3つの段階があるということです。
それでは、カルビン・ベンソン回路において、
6分子の二酸化炭素(CO2)が固定されて、1分子の糖(C6)が生じる反応について確認していきましょう。
①二酸化炭素(CO2)の固定
まず、葉緑体のストロマにおいて、
RuBisCO(ルビスコ)という酵素によって、6分子のリブロース1,5-ビスリン酸(RuBP:C5)に6分子の二酸化炭素(CO2)が付加されて、12分子の3-ホスホグリセリン酸(PGA:C3)が生じます(CO2の固定)。
①二酸化炭素(CO2)の固定
6RuBP(C5)+6CO2→12PGA(C3)
②3-ホスホグリセリン酸(PGA)の還元
12分子の3-ホスホグリセリン酸(PGA:C3)は、その後12分子のATPからそれぞれ1つのリン酸基を受け取って12分子の1,3-ビスホスホグリセリン酸(C3)へと変換されます。
次に、12分子の1,3-ビスホスホグリセリン酸(C3)が12分子のNADPHを利用することによって、12分子のグリセルアルデヒド3-リン酸(GAP:C3)へと還元されます(PGAの還元)。
これらの2つの反応は、解糖系における反応に使われる酵素と同じもので、それぞれホスホグリセリン酸キナーゼとグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼという酵素によって行われます。
※解糖系の反応については「2)解糖の10段階反応」で詳しく解説していますので、興味のある方は是非見てみてください。
※ちなみに、この過程で6分子の水(H2O)が生じます。
②3-ホスホグリセリン酸(PGA)の還元
12PGA(C3)+12ATP+12NADPH+12H+
→12GAP(C3)+6H2O+12ADP+12NADP+
③リブロース1,5-ビスリン酸(RuBP)の再生
12分子のグリセルアルデヒド3-リン酸(GAP:C3)は、その後1分子の糖(C6)の産生に利用されるとともに、残りは多段階の反応を経て、結果的に6分子のATPのリン酸基を受け取ることによって、6分子のリブロース1,5-ビスリン酸(RuBP:C5)へと変換されます(RuBPの再生)。
③リブロースビスリン酸(RuBP)の再生
12GAP(C3)+6ATP→C6H12O6+6RuBP(C5)+6ADP
暗反応(カルビン・ベンソン回路)の反応式
以上の3つの段階をまとめると、以下のような反応式になります。
カルビン回路全体の反応式
6CO2 + 12NADPH + 12H+ + 18ATP
→ C6H12O6 + 6H2O + 12NADP+ + 18ADP+18Pi
カルビン回路(CO2固定)と暗反応についてはこれで以上です。
次は「4)RuBisCO(ルビスコ)と光呼吸」について学んでいきましょう。
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4)RuBisCO(ルビスコ)と光呼吸
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