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4)ゲノムにおける遺伝子構成(反復配列・ジャンクDNA・パラログ・オルソログについて)

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1.ゲノムの遺伝子構成

○ジャンクDNA

 これまで「遺伝子はタンパク質をコードするDNA配列」として定義され、それ以外のタンパク質をコードしない非コードDNAの領域は「ジャンクDNA(ガラクタという意味)」であるという考え方が一般的でした。

 しかしながら、ヒトゲノム解析の結果から、ヒトゲノムのうち遺伝子が占める割合はたったの約2%に過ぎず、残りの約98%が実は非コードDNAで構成されているということがわかりました。すなわち、DNAの大半が「ジャンクDNA」として考えられていたものであったのです。

 さらに、ヒトがもつ遺伝子数は、線虫やマウスの遺伝子数とそれほど変わらないということが明らかとなりました。そのため、近年、このガラクタとして考えられていたジャンクDNA」に関する解析が急速に進み、非コードDNAが遺伝子発現調節や染色体構成を含めた様々な役割に関与していることが明らかとなってきました。

○真核生物に多く含まれる反復配列

 「ジャンクDNA」として考えられていたものの一つとして反復配列があります。原核生物のゲノムでは遺伝子の割合が高く反復配列はほとんど含まれないのに対し、真核生物のゲノムには多数の反復配列が含まれています。これらの反復配列には大きく2つの種類があります。

「縦列型反復配列(タンデム反復配列)」

 一つ目の反復配列は、同じ領域に反復配列が繰り返し並んだ縦列型反復配列タンデム反復配列)と呼ばれる配列です。

 縦列型反復配列は、サテライトDNAとも呼ばれ、他の部分のDNAと密度が異なることから発見されたものになります。サテライトDNAの例として有名なものに、「セントロメア」と染色体中央の反復配列からなる構造体があります。

サテライトDNAには

ミニサテライトDNA(10~100bpの反復配列)

マイクロサテライトDNA(~15bpの反復配列)

と呼ばれるものが含まれます。ミニサテライトDNAの例として有名なものには、TTAGGGの配列が繰り返した「テロメア」と呼ばれる染色体末端の反復配列からなる構造体があります。

 これらサテライトDNAの役割は、まだまだ未知な部分が多いとされていますが、セントロメアやテロメアといった染色体における構造体を形成することで、染色体の複製や安定化(分解からの保護)などに役立っていたりします。

「散在型反復配列」

 もう一つの反復配列は、ゲノムのあちこちに散在して存在する散在型反復配列と呼ばれる配列です。散在型反復配列はゲノムの中を動き回る遺伝子「トランスポゾン(転移因子)」や「レトロポゾン」に由来すると考えられています。

散在型反復配列には

LINE(Long INterspersed Elements;長鎖散在反復配列)

SINE(Short INterspersed Elements;短鎖散在反復配列)

と呼ばれるものがあります。

○機能性RNA

「ジャンクDNA」として考えられていたものの中には、機能性RNAとして生体内で重要な役割を担っていることが明らかとなってきているものがあります。

主な機能性RNAとしては

miRNA(マイクロRNA)
piRNA(PIWI-interacting RNA)
snRNA(核内低分子RNA)
snoRNA(核小体低分子RNA)
lncRNA(長鎖non-coding RNA)

などがあります。

 

○miRNAによる転写後制御

 ヒトゲノム上にはmiRNAが1000種類以上コードされていますが、これらは一般的に相同性を有する複数の標的mRNAを不安定化したり、翻訳抑制したりすることでタンパク質の合成を抑制することが知られています。

 

2.オルソログ・パラログの違い

○オルソログ

 異なる生物が共通祖先に由来する遺伝子を持つとき、それらの遺伝子はオルソログ(直系遺伝子)と呼ばれます。オルソログは、種分化の過程で生じた、相同な機能をもった遺伝子になります。

 例)ヒトのIGF1とマウスのIGF1 → 「オルソログ」

○パラログ 

 ある生物がもつ2つの遺伝子が祖先種では同一の遺伝子であった場合、それらの遺伝子はパラログ(側系遺伝子)と呼ばれます。パラログは、進化の過程で遺伝子重複によって生じ、機能の異なる遺伝子になります。

 例)ヒトのIGF1とヒトのIGF2 → 「パラログ」

○ホモログ 

 同一の祖先種に由来する遺伝子で、類似関係にある遺伝子のことをホモログ(相同遺伝子)といいます。オルソログとパラログは、ともにホモログに含まれます。

 例)ヒトのIGF1とマウスのIGF1とヒトのIGF2 → 「ホモログ」 

これでゲノムにおける遺伝子構成(反復配列・ジャンクDNA・パラログ・オルソログ)については以上です。
次は「1) ヒストン八量体とヌクレオソーム(コアヒストンを中心に)」について学んでいきましょう。

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