第39回管理栄養士国家試験(59問目)
食べ物と健康
第39回【59問目】機能性表示食品に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。
(1) 授乳婦用に開発された加工食品は、対象に含まれる。
(2) サプリメント形状の加工食品は、対象に含まれる。
(3) 安全性および機能性の根拠に関する情報は、消費者庁のウェブサイトで確認することができる。
(4) 体調に異変を感じた際は、速やかに摂取を中止し、医師に相談する。
(5) 容器包装に、「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」と表示しなくてはならない。
厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf
第39回【59問目】機能性表示食品に関する問題、解説スタート!
この問題の正解は、(1) 授乳婦用に開発された加工食品は、対象に含まれる。 です!


第39回【59問目】機能性表示食品に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。
機能性食品について
機能性食品とは、通常の食品が持つ栄養機能に加えて、特定の保健の目的が期待できる食品のことです。病気の治療を目的とする医薬品とは異なり、食生活を通じて健康の維持・増進に役立つものとして位置づけられています。
日本においては、食品衛生法、健康増進法、そして消費者庁の所管のもと、主に以下の3つのカテゴリーに分類されます。
- 特定保健用食品(トクホ)
- 栄養機能食品
- 機能性表示食品
しろくまさん今回に関しては、機能性食品に着目しよう!しかし、国家試験ではこの三つの違いも多く出るのでしっかり覚えとこう!
機能性表示食品
機能性表示食品は、2015年に始まった新しい制度で、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品です。特定保健用食品とは異なり、国による個別審査はありませんが、安全性及び機能性の根拠に関する情報などを消費者庁に届け出る必要があります。
特徴
- 企業が科学的根拠に基づき、機能性を表示します。
- 製品の安全性と機能性の根拠に関する情報は、販売前に消費者庁に届け出られ、消費者庁のウェブサイトで公開されます。
- 疾病の治療や予防を目的としたものではありません。
- 「本品には〇〇が含まれます。〇〇には、△△の機能があることが報告されています。」といった形で表示されます。
主な関与成分の例
成分名 | 機能 |
ルテイン | 目のピント調節機能 |
GABA | 血圧降下作用、精神的ストレス緩和作用 |
DHA・EPA | 中性脂肪低下作用 |
難消化性デキストリン | 食後の血糖値や中性脂肪の上昇を穏やかにする |
イソフラボン | 骨密度維持作用 |
✖️(1) 授乳婦用に開発された加工食品は、対象に含まれる。
機能性表示食品は、病気の人や乳幼児、妊産婦(妊娠を計画している者を含む)、授乳婦を対象とした食品は認められていません。
機能性表示食品制度は、事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示できる制度ですが、その対象は「疾病に罹患していない者」とされています。
そのため、病気の人向けの食品(病者用食品)や、乳幼児、妊産婦、授乳婦といった特定の生理状態にある人を対象とした食品は、機能性表示食品の対象外とされています。
これは、これらの人々に対する安全性や有効性の確認がより慎重に行われる必要があるためです。
⭕️(2) サプリメント形状の加工食品は、対象に含まれる。
機能性表示食品は、錠剤やカプセルといったサプリメントの形でも、通常の食品(野菜、果物、飲料など)の形でも、どちらでも認められています。
機能性表示食品制度は、これまでの特定保健用食品(トクホ)とは異なり、形状に制限がありません。
そのため、サプリメント(錠剤、カプセル、粉末など)の形状の加工食品はもちろんのこと、生鮮食品(例:GABAを多く含むトマト)、一般の加工食品(例:難消化性デキストリンを含むお茶)など、幅広い食品が対象となります。
⭕️(3) 安全性および機能性の根拠に関する情報は、消費者庁のウェブサイトで確認することができる。
機能性表示食品として届け出られた情報は、消費者庁のウェブサイトで公開されています。
事業者は、機能性表示食品として販売する前に、その食品の安全性と機能性の科学的根拠に関する情報を消費者庁に届け出る必要があります。
届け出られた情報は、消費者庁のウェブサイトにある「機能性表示食品の届出情報検索」で誰でも確認することができます。これにより、消費者は、表示されている機能性の根拠や安全性の情報を、自ら確認できるようになっています。
⭕️(4) 体調に異変を感じた際は、速やかに摂取を中止し、医師に相談する。
機能性表示食品を摂取して体調が悪くなった場合は、すぐに摂取をやめて、お医者さんに相談することが重要です。
機能性表示食品は、疾病の治療や予防を目的としたものではなく、あくまで健康の維持・増進を目的とした食品です。そのため、摂取後に体調に異変を感じた場合は、速やかに摂取を中止し、医師や薬剤師などの専門家に相談することが、消費者庁のガイドラインでも注意喚起されています。
⭕️(5) 容器包装に、「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」と表示しなくてはならない。
機能性表示食品の容器包装には、消費者に健康的な食生活を促すための注意喚起表示として、この文言を記載することが義務付けられています。
機能性表示食品は、特定の機能性を表示できる一方で、それだけで健康が維持できるわけではないことを消費者に伝えるため、容器包装には「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」という表示と、「本品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。」といった表示をすることが義務付けられています。これは、消費者が機能性表示食品を過信せず、バランスの取れた食生活の重要性を認識するためのものです。
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