管理栄養士国家試験問題・解説

第39回【15問目】特定健康診査・特定保健指導に関する記述である。 最も適当なのはどれか。1つ選べ。

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第39回管理栄養士国家試験(15問目)z

社会・環境と健康

第39回【15問目】特定健康診査・特定保健指導に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。 最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1) 根拠法は、健康増進法である。

(2) 75 歳以上の被保険者は、対象とならない。

(3) 保険者は、降圧薬を服薬中の者を、特定保健指導の対象としなければならない。

(4) 採血は、空腹時に限定されている。

(5) 腹囲が 90 cm で喫煙習慣がある 50 歳男性の場合、1つの追加リスクがあると動機付け支援の対象となる。

厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf

第39回【15問目】特定健康診断・特定保健指導に関する問題、解説スタート!

この問題の正解は、(2) 75 歳以上の被保険者は、対象とならない。です!

黒アザラシ
黒アザラシ
なんでこれが正解で、他の選択肢は違うの??

しろくまさん
しろくまさん
じゃあ、一つずつ詳しく見ていこうね!

第39回【15問目】特定健康診査・特定保健指導に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。 最も適当なのはどれか。1つ選べ。

✖️(1) 根拠法は、健康増進法である。

特定健康診査・特定保健指導の根拠法は、「高齢者の医療の確保に関する法律」です。

高齢者の医療の確保に関する法律とは

国民全体の健康寿命を延ばし、医療費の適正化を図ることを目的としています。
特に、生活習慣病の予防に重点を置き、メタボリックシンドロームの概念を取り入れた健診・保健指導を推進するために制定されました。

健康増進法は、国民の健康増進の総合的な推進を図るための基本的な法律です。
受動喫煙防止や栄養表示の推進など、幅広い健康づくりに関する内容が含まれていますが、特定健診・特定保健指導の直接の根拠法ではありません。

✖️(2) 75 歳以上の被保険者は、対象とならない。

特定健康診査・特定保健指導の主な対象は、40歳から74歳までの医療保険加入者です。
75歳以上の被保険者は、後期高齢者医療制度の対象となり、この制度の中で別途、健康診査を受けることになっています。特定健診の直接の対象からは外れますが、健康診査自体はきちんと実施されますのでご安心ください。

項目 医療保険制度(特定健診・特定保健指導) 後期高齢者医療制度
主な対象年齢 40歳〜74歳(各医療保険の被保険者・被扶養者) 75歳以上(全員が対象)
制度の目的 生活習慣病の予防(メタボリックシンドロームに着目) 75歳以上の医療費の確保と提供(医療の持続可能性)
根拠法 高齢者の医療の確保に関する法律
運営主体 各医療保険者(協会けんぽ、健康保険組合、市町村国保など) 後期高齢者医療広域連合(各都道府県に設置)
実施される健診 特定健康診査(特定健診) 後期高齢者医療健康診査(一般的な健康診査)
保健指導の有無 特定保健指導(動機付け支援、積極的支援)を実施される 基本的に保健指導は直接の義務ではないが、広域連合や市町村で独自の取り組みは可能
財源の主な内訳 保険料、公費、事業主負担など 公費(税金)、現役世代からの支援金、高齢者自身の保険料
加入の切り替わり 40歳になったら、加入している医療保険から自動的に対象となる。 75歳になったら、それまでの医療保険から自動的に切り替わる。

✖️(3) 保険者は、降圧薬を服薬中の者を、特定保健指導の対象としなければならない。

特定保健指導は、メタボリックシンドロームまたはその予備群で、生活習慣の改善によって疾病の発症を予防できる可能性のある方を対象としています。
すでに降圧薬を服薬している方は、高血圧という「病気」と診断され、医療機関で治療を受けている状態です。

そのため、特定保健指導の対象ではなく、医療機関での治療が優先されます。特定保健指導は、あくまで「病気になる前」の段階の方をサポートするためのものなんです。

✖️(4) 採血は、空腹時に限定されている。

特定健康診査における採血項目の中で、中性脂肪(トリグリセライド)については、食後の影響を受けやすいため、原則として空腹時(10時間以上の絶食)での採血が望ましいとされています。
しかし、血糖(HbA1cを含む)やコレステロール(HDL-C、LDL-C)などの項目は、食後でも測定が可能であり、必ずしも空腹時に限定されているわけではありません。実際の健診では、医療機関の指示に従って採血を行います。

⭕️(5) 腹囲が 90 cm で喫煙習慣がある 50 歳男性の場合、1つの追加リスクがあると動機付け支援の対象となる。

これは、特定保健指導の対象者選定と階層化の基準に関する問題です。

男性の場合、腹囲が85cm以上が内臓脂肪蓄積の基準となります。この男性は腹囲90cmなので、すでに基準を超えています。
特定保健指導では、メタボリックシンドロームの診断基準と、追加リスクの数によって、対象者を「積極的支援」と「動機付け支援」に階層化します。

メタボリックシンドロームの診断基準(腹囲+以下の2つ以上)

高血糖:空腹時血糖値110mg/dL以上、またはHbA1c 6.1%以上
高血圧:収縮期血圧130mmHg以上、または拡張期血圧85mmHg以上
脂質異常:HDLコレステロール40mg/dL未満、または中性脂肪150mg/dL以上

*この男性は、腹囲90cm(基準オーバー)で、喫煙習慣がある(追加リスク1つ)。さらに「1つの追加リスクがある」とされているので、合計で2つのリスク因子を持っていることになります。

特定保健指導の階層化基準

メタボリックシンドロームの基準に該当しないが、リスクが1つある場合:情報提供
メタボリックシンドロームの基準に該当するがリスクが1つある場合(予備群):動機付け支援
メタボリックシンドロームの基準に該当し、リスクが2つ以上ある場合(該当者):積極的支援

*この男性は、腹囲が90cmでメタボリックシンドロームの予備群の基準に当てはまり、さらに喫煙習慣というリスクがあり、問題文で「1つの追加リスクがある」とされているので、合計で2つのリスク因子を持つことになります。したがって、動機付け支援の対象となります。

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