第39回管理栄養士国家試験(28問目)
人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
第39回【28問目】循環器系の構造と機能に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1) 心臓血管中枢は、中脳にある。
(2) 肺動脈は、肺と左心房をつなぐ。
(3) 心室の収縮期では、僧帽弁は閉鎖する。
(4) 動脈は、内膜と外膜の2層からなる。
(5) 副交感神経の興奮により、心拍数は増加する。
厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf
第39回【28問目】循環器系の構造と機能に関する問題、解説スタート!
この問題の正解は、(5) 三次予防の例に、腎不全患者への人工透析がある。 です!


【28問目】循環器系の構造と機能に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
✖️(1) 心臓血管中枢は、中脳にある。
心臓や血管の動きをコントロールする「心臓血管中枢」は、脳の中の「延髄(えんずい)」という場所にあります。中脳ではありません。
心臓血管中枢
心臓血管中枢は、自律神経系を通じて心拍数、心収縮力、血管の収縮・拡張などを調節し、血圧や血流を適切に保つ役割をしています。
この重要な中枢は、脳幹の中でも最も下位に位置する「延髄」に存在します。延髄には、呼吸中枢など、生命維持に不可欠な中枢が集中しています。
✖️(2) 肺動脈は、肺と左心房をつなぐ。
肺動脈は、心臓の右側(右心室)から肺に血液を送る血管です。肺と左心房をつなぐのは「肺静脈」という血管です。
血液の循環経路を確認しましょう。
肺動脈と肺静脈
肺動脈:全身から戻ってきた二酸化炭素の多い血液(静脈血)を、右心室から肺へと送る血管です。動脈という名前ですが、流れるのは静脈血です。
肺静脈:肺で酸素を受け取った新鮮な血液(動脈血)を、肺から左心房へと送る血管です。静脈という名前ですが、流れるのは動脈血です。
このように、肺動脈と肺静脈は、心臓と肺の間で血液をやり取りする役割が異なります。
⭕️(3) 心室の収縮期では、僧帽弁は閉鎖する。
心臓の「心室」がぎゅっと縮んで血液を押し出す時(収縮期)、心室と心房の間にある「僧帽弁」は、血液が逆流しないようにしっかり閉まります。
心臓には血液の逆流を防ぐための「弁」がいくつかあります。
僧帽弁(左房室弁):左心房と左心室の間にある弁です。
三尖弁(右房室弁):右心房と右心室の間にある弁です。
心室が収縮して全身や肺に血液を送り出す際(心室収縮期)、心室内の圧力が急上昇します。
このとき、心室から心房へ血液が逆流するのを防ぐために、僧帽弁と三尖弁(房室弁)は「閉鎖」します。この弁が閉まる音が、心臓の拍動の音(I音)として聴こえます。
✖️(4) 動脈は、内膜と外膜の2層からなる。
動脈の壁は、丈夫でしなやかにできていて、「内膜」「中膜」「外膜」の3つの層からできています。2層ではありません。
動脈の壁は、血圧に耐え、血流をスムーズにするために非常に強固で弾力性のある構造をしています。その壁は、内側から順に以下の3つの層で構成されています。
動脈の壁
内膜:血管の内側を覆う一層の細胞(血管内皮細胞)と、その下の結合組織からなります。血液と直接接する部分です。
中膜:平滑筋細胞と弾性線維が豊富に含まれる厚い層で、血管の収縮・拡張を調節し、血圧を維持する上で最も重要な部分です。
外膜:血管の最も外側を覆う結合組織の層で、血管を周囲の組織に固定し、血管に栄養を供給する血管(栄養血管)も含まれます。
したがって、動脈の壁は3層構造です。
✖️(5) 副交感神経の興奮により、心拍数は増加する。
副交感神経は、体を「リラックス」させる時に働く神経です。リラックスすると心拍数は減少します。心拍数を増やすのは「交感神経」の役割です。
心臓の活動は、自律神経系によって調節されています。
交感神経:活動時や興奮時に優位になり、心拍数や心収縮力を「増加」させます(例:運動中や緊張している時)。
副交感神経:休息時やリラックス時に優位になり、心拍数や心収縮力を「減少」させます(例:睡眠中や安静にしている時)。
つまり、副交感神経の興奮は、心拍数を減少させる効果があります。
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