第39回管理栄養士国家試験(26問目)
人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
第39回【26問目】消化器系の構造と機能に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ
(1) 嚥下時には、軟口蓋が気管を塞ぐ。
(2) 内因子は、主細胞から分泌される。
(3) 胆汁は、総胆管を経て胆嚢に運ばれる。
(4) オッディ(Oddi)括約筋が弛緩すると、胆汁が十二指腸に排出される。
(5) 大腸粘膜には、輪状ヒダがある。
厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf
第39回【26問目】消化器系の構造と機能に関する問題、解説スタート!
この問題の正解は、(4)オッディ(Oddi)括約筋が弛緩すると、胆汁が十二指腸に排出される。 です!


【26問目】消化器系の構造と機能に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ
✖️(1) 嚥下時には、軟口蓋が気管を塞ぐ。
食べ物を飲み込む時(嚥下時)に気管を塞ぐのは、軟口蓋ではなく「喉頭蓋(こうとうがい)」というフタです。
軟口蓋の機能は鼻の方への逆流を防ぐ役割をします。
嚥下は、食べ物が誤って気管に入り、むせてしまうのを防ぐための複雑なメカニズムです。
このとき、重要な役割を果たすのが「喉頭蓋」です。喉頭蓋は、喉頭(のど仏のあたり)の入り口を覆うフタのような構造で、食べ物を飲み込む際に気管の入り口を塞ぎ、食道へと導きます。
「軟口蓋」は、口の奥の上部にあり、嚥下時には上方に持ち上がって鼻腔(鼻の奥)と口腔(口の中)を遮断することで、食べ物が鼻の方へ逆流するのを防ぎます。


✖️(2) 内因子は、主細胞から分泌される。
ビタミンB12の吸収に必要な「内因子」は、胃の「壁細胞(へきさいぼう)」という細胞から分泌されます。
主細胞からは、消化酵素の素が分泌されます。
胃の粘膜にはいくつかの種類の細胞があり、それぞれ異なる分泌物を出します。
壁細胞(または傍細胞) | 塩酸と内因子を分泌します。内因子はビタミンB12(コバラミン)の吸収に不可欠な糖タンパク質です。 |
主細胞 | ペプシノゲン(タンパク質分解酵素ペプシンの前駆体)を分泌します。 |
副細胞(または粘液頸部細胞) | 粘液を分泌します。 |
したがって、内因子は主細胞からではなく、壁細胞から分泌されます。
✖️(3) 胆汁は、総胆管を経て胆嚢に運ばれる。
胆汁は肝臓で作られ、十二指腸に出るのが主な役割ですが、すぐに使わない分は「胆嚢」という袋に一時的に貯められます。
胆嚢に運ばれるのは、総胆管を通ってからではなく、総肝管から分岐する「胆嚢管」を通って胆嚢に入ります。
ポイント
胆汁は肝臓の肝細胞で産生されます。
産生された胆汁は、①肝臓内の細い胆管が集まって「総肝管」となり、②「胆嚢管」を経て③「胆嚢」に一時的に貯蔵・濃縮されます。
食事が胃に入ると、胆嚢が収縮して、濃縮された胆汁が再び胆嚢管から総肝管に入り、その後「総胆管」を経て十二指腸へと排出されます。記述は胆嚢に運ばれる経路が逆になっています。
⭕️(4) オッディ(Oddi)括約筋が弛緩すると、胆汁が十二指腸に排出される。
オッディ括約筋は、胆汁と膵液が十二指腸に流れ込む出口にあるドアのようなものです。
食事が来るとこのドアが緩み(弛緩)、胆汁と膵液が十二指腸に流れ出して消化を助けます。
オッディ括約筋は、総胆管と膵管が合流して十二指腸に開口する「十二指腸大乳頭(ファーター乳頭)」の周囲にある筋肉です。
通常は閉まっていて、胆汁や膵液が十二指腸に常に流れ込まないように調節しています。食事が十二指腸に入ると、コレシストキニンなどのホルモンの作用により、この括約筋が「弛緩(ゆるむ)」し、胆汁(胆嚢から)と膵液(膵臓から)が十二指腸内に排出され、脂質の消化吸収やその他の栄養素の消化を助けます。
✖️(5) 大腸粘膜には、輪状ヒダがある。
輪状ヒダは、食べ物から栄養を効率よく吸収するために、小腸の粘膜にたくさんあるヒダです。大腸には栄養を吸収する役割はほとんどなく、主に水分を吸収するので、輪状ヒダはありません。
小腸と大腸に関して
輪状ヒダ(ケルクリングヒダ、円形ヒダ):小腸の内壁に見られる特徴的なヒダで、表面積を広げ、栄養素の吸収効率を高める役割を担っています。
大腸:主な機能は水分の吸収と便の形成・貯留であり、小腸のように栄養素を活発に吸収する部位ではありません。
そのため、大腸の粘膜には輪状ヒダは存在せず、表面は比較的平坦です。大腸には、結腸ヒモによってできる「結腸膨起」と呼ばれる膨らみは見られますが、これは輪状ヒダとは構造も機能も異なります。
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