第39回管理栄養士国家試験(7問目)
社会・環境と健康
第39回【7問目】生活習慣(ライフスタイル)の評価と対策に関する記述である。 最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1) 健康日本 21(第二次)の最終評価において、「運動習慣者の割合の増加」は「目標値に達した」と評価された。
(2) 健康日本 21(第二次)の最終評価において、「生活習慣病のリスクを高める量 を飲酒している者の割合の減少」は「目標値に達した」と評価された。
(3) 健康日本 21(第三次)では、休養・睡眠に関する指標として、具体的な睡眠 時間は設定されていない。
(4) 健康づくりのための睡眠ガイド 2023 では、高齢者の床上時間は8時間以上 にならないことが目安とされている。
(5) ブリンクマン指数は、「1日の喫煙本数」に「喫煙開始年齢」を乗じた値である。
厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf
第39回【1問目】疾病の自然史と予防手段の適用段階に関する問題、解説スタート!
この問題の正解は、(4) 健康づくりのための睡眠ガイド 2023 では、高齢者の床上時間は8時間以上 にならないことが目安とされている。です!


第39回【7問目】生活習慣(ライフスタイル)の評価と対策に関する記述である。 最も適当なのはどれか。1つ選べ。
✖️(1) 健康日本 21(第二次)の最終評価において、「運動習慣者の割合の増加」は「目標値に達した」と評価された。
「健康日本21(第二次)」の最終評価では、「運動習慣者の割合の増加」は目標に達しませんでした。国民の運動習慣は、計画期間中に大きく変化がなかったと評価されています 。
「健康日本21(第二次)」は、健康寿命の延伸などを目指した国家プロジェクトで、運動習慣の定着は重要な目標でした 。しかし、最終評価では「運動習慣者も大きく変化なし」とされ、目標は未達成に終わっています 。
これは、運動に関する情報提供や環境整備が進んでも、人々の行動変容を促すことの難しさを示しています 。管理栄養士としては、単に知識を伝えるだけでなく、対象者の行動変容の障壁を理解し、具体的なスモールステップの設定やモチベーション維持のサポートが重要になります。政策レベルでの環境整備と個人の行動のギャップを埋める役割も担う必要があるでしょう 。
目標項目 | 最終評価 | 評価コメント |
運動習慣者の割合の増加 | 目標未達 | 大きく変化なし、行動変容に至らず |
✖️(2) 健康日本 21(第二次)の最終評価において、「生活習慣病のリスクを高める量 を飲酒している者の割合の減少」は「目標値に達した」と評価された。
「健康日本21(第二次)」の最終評価では、「生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合の減少」は目標に達しませんでした。多量飲酒者の割合は、計画期間中に変化がなかったと報告されています。
過度な飲酒は多くの生活習慣病リスクを高めるため、「健康日本21(第二次)」の重要目標でした 。しかし、最終評価では「多量飲酒者の割合に変化がない」と結論付けられ、目標は未達成でした 。
ここでいう「多量飲酒者」は1日平均60gを超える飲酒者、または生活習慣病のリスクを高める量(男性40g以上、女性20g以上)を飲酒する者と定義されています 。

管理栄養士は、具体的な純アルコール量の目安や男女差を理解し、指導に活かす必要があります。運動習慣と同様に目標未達成であることから、生活習慣の改善には複合的なアプローチが求められることがわかります 。
目標項目 | 目標値 | 最終評価 | 評価コメント |
生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合の減少 | 男性 3.2% 以下、女性 0.2%以下(多量飲酒者) | 目標未達 | 変化なし、引き続き努力が必要 |
今後10年間で15%低減(リスクを高める飲酒者) |
✖️(3) 健康日本 21(第三次)では、休養・睡眠に関する指標として、具体的な睡眠 時間は設定されていない。
「健康日本21(第三次)」では、休養・睡眠に関する指標として具体的な睡眠時間が設定されています。
「健康日本21(第三次)」は2024年度から始まる新たな国民健康づくり運動で、休養・睡眠の重要性が強調されています 。
睡眠時間が十分に確保できている者の増加」の指標として、成人「6~9時間」、60歳以上「6~8時間」という具体的な睡眠時間が目標値として設定されています 。これは、睡眠が公衆衛生政策においてより明確に位置づけられたことを示します。管理栄養士は、栄養指導の際に睡眠の質や量にも目を向け、年齢に応じた指導を行うことが重要です 。
目標項目 | 指標 | 目標値 | 目標年度 |
睡眠で休養がとれている者の増加 | 睡眠で休養がとれている者の割合(年齢調整値) | 80% | 令和14年度 |
睡眠時間が十分に確保できている者の増加 | 睡眠時間が6~9時間(60歳以上は6~8時間)の者の割合(年齢調整値) | 60% | 令和14年度 |
週労働時間60時間以上の雇用者の減少 | 週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合 | 5% | 令和7年度 |
◯(4) 健康づくりのための睡眠ガイド 2023 では、高齢者の床上時間は8時間以上 にならないことが目安とされている。
「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、高齢者の床上時間は8時間以上にならないことが目安とされています 。寝床で過ごす時間が長すぎると、健康リスクが高まる可能性があるためです 。
「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、高齢者の床上時間が8時間以上にならないよう推奨されています 。これは、高齢者の場合、睡眠時間の長短よりも床上時間が長すぎると健康リスクが高まるためです 。
寝床で過ごす時間が長いと、日中の活動量低下や睡眠休養感の欠如につながり、死亡リスクが増加する可能性も指摘されています 。管理栄養士は、高齢者への指導で「床上時間」の概念を伝え、日中の活動を促すことで、より質の高い睡眠と健康維持をサポートできます 。
健康づくりのための睡眠ガイド2023における高齢者への主要推奨事項
対象 | 推奨事項 | 理由 | その他推奨 |
高齢者(65歳以上) | 床上時間が8時間以上にならないこと | 健康リスク、死亡リスクの増加(睡眠時間の長短よりも床上時間の長さが影響) | 日中は長時間の昼寝を避け、活動的に過ごす |
◯(5) ブリンクマン指数は、「1日の喫煙本数」に「喫煙開始年齢」を乗じた値である。
ブリンクマン指数は、「1日の喫煙本数」に「喫煙年数」をかけたものです。「喫煙開始年齢」ではありません 。これは、喫煙が体に与える影響、特に肺がんなどのリスクを評価する重要な指標です 。
ブリンクマン指数
喫煙による健康リスクを定量的に評価する指標で、「1日の喫煙本数 × 喫煙年数」で算出されます 。
この指数は、喫煙開始年齢ではなく、有害物質への「累積暴露量」に基づいています 。数値が大きいほど肺がんなどの発病リスクが高いとされており、例えば400以上で肺がん発生リスクが高まります。
、ブリンクマン指数の算出方法と健康リスクの目安をまとめました。
項目 | 内容 |
算出方法 | 1日の喫煙本数 × 喫煙年数 |
健康リスクの目安 | ブリンクマン指数 400 以上:肺がんが発生しやすい状況 |
ブリンクマン指数 600 以上:肺がん高度危険・肺気腫(COPD)の危険大 | |
ブリンクマン指数 1200 以上:咽頭がんの危険大 |
健康日本21(第二次)の評価結果のまとめ
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