第39回管理栄養士国家試験(9問目)
社会・環境と健康
第39回【9問目】歯科口腔保健および学校保健に関する記述である。 最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1) フッ化物の歯面塗布の主な目的は、歯周病の予防である。
(2) シーラントの主な目的は、歯周病の予防である。
(3) 糖尿病は、歯周病のリスク因子である。
(4) 直近5年間の学校保健統計調査によると、小学生におけるむし歯(う歯)の被患率は、増加傾向である。
(5) 直近5年間の学校保健統計調査によると、中学生における被患率が最も高いのは、むし歯(う歯)である。
厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf
第39回【9問目】歯科口腔保健および学校保健に関する問題、解説スタート!
この問題の正解は、(3) 糖尿病は、歯周病のリスク因子である。 です!


【9問目】歯科口腔保健および学校保健に関する記述である。 最も適当なのはどれか。1つ選べ。
✖️(1) フッ化物の歯面塗布の主な目的は、歯周病の予防である。
フッ化物の歯面塗布は、歯の表面を強くして、主にむし歯(う蝕)を予防するのが目的です。歯周病は歯ぐきや歯を支える骨の病気なので、フッ化物とはちょっと役割が違うんです。
フッ化物は歯の表面のエナメル質に取り込まれて、フルオロアパタイトという酸に強い構造を作ります。これで、むし歯菌が出す酸から歯を守ってくれるんですよ。また、ごく微量のフッ素は、むし歯菌の活動を抑える働きもあると言われています。
歯周病予防には、毎日の丁寧な歯みがきや、定期的な歯科検診で歯石を取ってもらうことが大切です。
✖️(2) シーラントの主な目的は、歯周病の予防である。
メモ
シーラントとは、奥歯の噛み合わせの溝(みぞ)をプラスチックで埋める処置です。
この溝はむし歯になりやすい場所なので、シーラントで埋めることで、主にむし歯(う蝕)を予防するのが目的です。歯周病とは関係ありませんね。
奥歯の溝は、歯ブラシの毛先が届きにくく、食べカスが残りやすいのでむし歯になりやすいんです。
シーラントで溝を埋めることで、食べカスが詰まるのを防ぎ、むし歯菌が繁殖するのを防ぎます。特に生えたばかりの永久歯は、歯の質がまだ弱く、むし歯になりやすいので、お子さんに施されることが多い予防処置です。
◯(3) 糖尿病は、歯周病のリスク因子である。
これは正解です!
糖尿病があると、歯周病になりやすくなったり、歯周病が重症化しやすくなったりすることが知られています。お互いに悪影響を及ぼし合う関係なんです。
糖尿病の人は、血糖値が高い状態が続くことで、免疫機能が低下しやすくなります。
そのため、歯周病菌に対する抵抗力が弱くなり、歯周組織の炎症が起こりやすくなるんです。
また、歯周病が悪化すると、全身の炎症反応が強まり、血糖コントロールが悪化するという悪循環に陥ることもあります。

✖️(4) 直近5年間の学校保健統計調査によると、小学生におけるむし歯(う歯)の被患率は、増加傾向である。
近年、小学生のむし歯の被患率は、減少傾向にあります。これは、フッ化物利用の普及や歯科保健指導の充実など、様々な取り組みの成果と言えます。
厚生労働省の学校保健統計調査を見ると、小学生のむし歯の被患率は、減少傾向が続いています。
昔と比べて、予防の意識が高まったり、予防のための取り組みが進んだりしていることが背景にあります。この良い流れを続けていくためにも、私たち管理栄養士も食育や歯みがき指導などで貢献できることがありますね。
順位 | 疾病・異常 | 被患率の傾向(概ね) |
1位 | 裸眼視力1.0未満の者 | 小学生で約3割を超えています。近年、増加傾向にあります。 |
2位 | むし歯(う歯) | 小学校で4割を下回っていますが、被患率は近年減少傾向にあります。 |
3位 | 鼻・副鼻腔疾患 | 小学生の罹患率が高い傾向にあります。 |
4位 | アトピー性皮膚炎 | 小学生の被患率が高い傾向にあります。 |
5位 | 肥満傾向児 | 横ばい傾向ですが、生活習慣病の観点からも注目されています。 |
✖️(5) 直近5年間の学校保健統計調査によると、中学生における被患率が最も高いのは、むし歯(う歯)である。
直近の学校保健統計調査を見ると、中学生で最も被患率が高いのは、むし歯ではなく、裸眼視力1.0未満の者(近視など)です。スマートフォンの普及などで、視力低下の子どもが増えているのが現状です。
一昔前はむし歯が子どもの健康課題のトップでしたが、近年は近視などの視力低下が大きな問題となっています。
特に中学生になると、スマートフォンの使用時間が増えたり、塾などで勉強する時間が増えたりすることで、目を酷使する機会が増える傾向にあります。デジタルデバイスとの付き合い方や、屋外での活動時間などを考慮した生活習慣の指導も、これからの学校保健では重要になってきますね。
順位 | 疾病・異常 | 被患率の傾向(概ね) |
1位 | 裸眼視力1.0未満の者 | 中学生で約6割を超えており、学年が上がるにつれて増加します。近年、増加傾向が続いています。 |
2位 | むし歯(う歯) | 中学生で約3割程度ですが、近年は減少傾向にあります。 |
3位 | 鼻・副鼻腔疾患 | 中学生でも比較的被患率が高い傾向にあります。 |
4位 | アトピー性皮膚炎 | 中学生の被患率も高い傾向にあります。 |
5位 | 肥満傾向児 | 横ばい傾向ですが、生活習慣病の観点からも注目されています。 |
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