今回は糖新生の調節について学んでいきましょう。
糖新生の調節段階も主に不可逆反応にありますので、どの反応が不可逆反応であったかを確認しながら解説していきます。
1.糖新生の調節
糖新生の不可逆反応
まずは糖新生の4つの不可逆反応を再確認しておきましょう。
「ピルビン酸→オキサロ酢酸」の反応
②ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)による「オキサロ酢酸→ホスホエノールピルビン酸」の反応
③フルクトース1,6-ビスホスファターゼによる
「フルクトース1,6-ビスリン→フルクトース6-リン酸」の反応
④グルコース6-ホスファターゼによる
「グルコース6-リン酸→グルコース」の反応
糖新生における4つの不可逆反応の位置はこちら↓
糖新生の調節として覚えておくことが望まれるのは、ピルビン酸カルボキシラーゼ、フルクトース1,6-ビスホスファターゼの調節になります。
ピルビン酸カルボキシラーゼの調節
ピルビン酸カルボキシラーゼはアセチルCoAによって活性化されます。
普段、ピルビン酸はピルビン酸デヒドロゲナーゼによる酸化的脱炭酸によってアセチルCoAに変換され、クエン酸回路や脂肪酸合成に入って消費されています。
一方で、飢餓状態など脂肪酸やケトン体の分解が促進されると、アセチルCoAが徐々に蓄積していく状態となります。このような状態ではピルビン酸カルボキシラーゼが活性化され、ピルビン酸がオキサロ酢酸に変換され糖新生が行われるようになるのです。
フルクトース1,6-ビスホスファターゼの調節
フルクトース1,6-ビスホスファターゼはAMPとフルクトース2,6-ビスリン酸によって阻害されます。
これはフルクトース1,6-ビスホスファターゼの逆反応となっている解糖の6-ホスホフルクトキナーゼと逆の調節を受けています。6-ホスホフルクトキナーゼの調節については「5)解糖の調節」にまとめています。
フルクトース2,6-ビスリン酸はフルクトース1,6-ビスホスファターゼを強く阻害しますが、これについては「4)ホルモンによる糖新生と解糖の調節」にまとめています。
【補足図】フルクトース2,6-ビスリン酸による糖新生と解糖の調節
フルクトース2,6-ビスリン酸による糖新生と解糖の調節について↓
糖新生の調節についてはこれで以上です。
次は「1)ペントースリン酸経路の役割」について学んでいきましょう。
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1)ペントースリン酸経路の役割
今回はペントースリン酸経路について学んで行きましょう。 1.ペントースリン酸経路とは ペントースリン酸経路は 解糖系のグルコース6-リン酸を出発物質として核酸などの構成要素となる「リボース5-リン酸」 ...
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【参考】