第39回管理栄養士国家試験(62問目)
食べ物と健康
第39回【62問目】食品とその製造に利用される酵素の組合せである。 最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1) 水あめ – インベルターゼ
(2) カップリングシュガー – カタラーゼ
(3) 果糖ぶどう糖液糖 – グルコースイソメラーゼ
(4) 食用油脂 – トランスグルタミナーゼ
(5) 成型肉 – ペクチナーゼ
厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf
第39回【62問目】食品とその製造に利用される酵素の組み合わせに関する問題、解説スタート!
この問題の正解は、(3) 果糖ぶどう糖液糖 – グルコースイソメラーゼ です!


第39回【62問目】食品とその製造に利用される酵素の組合せである。 最も適当なのはどれか。1つ選べ。
✖️(1) 水あめ – インベルターゼ
水あめを作るには、主にデンプンを分解するアミラーゼという酵素が使われます。インベルターゼは、ショ糖をブドウ糖と果糖に分解する酵素で、主に転化糖の製造などに使われます。
水あめは、デンプン(米やトウモロコシなど)を加水分解して作られる糖液で、その際にデンプンをブドウ糖やマルトースなどに分解するために、アミラーゼ(α-アミラーゼ、β-アミラーゼなど)やグルコアミラーゼといった酵素が利用されます。
インベルターゼ(スクラーゼ)は、ショ糖を構成糖であるブドウ糖と果糖に加水分解する酵素であり、はちみつや転化糖の製造などに用いられます。
✖️(2) カップリングシュガー – カタラーゼ
カップリングシュガー(カプリングシュガー)は、ブドウ糖をイソマルトオリゴ糖などに変換するグルコシルトランスフェラーゼなどが使われます。
カタラーゼは、過酸化水素を水と酸素に分解する酵素で、食品の脱酸素剤や漂白剤の除去などに使われます。
カップリングシュガーとは
カップリングシュガーは、デキストリンなどに酵素(例えば、グルコシルトランスフェラーゼなど)を作用させてオリゴ糖(イソマルトオリゴ糖など)を生成したものです。消化されにくく、低カロリーの甘味料として利用されます。
【カップリングシュガーは何に使われいている??】
- 製餡: 後味の切れの良い、あっさりとした餡を作る。
- 菓子類: キャンディ、羊羹、餅菓子、スポンジ、クッキー、ビスケット、カステラ、ジャム、ゼリーなどに。砂糖の結晶化を防ぎ、しっとり感やツヤを与える。
- 製パン: パンにしっとり感を与える。
- 調味料: 佃煮、蜜漬け、各種タレなど。ツヤやコクを与え、味質を改善する。
- 加工食品: 畜肉、農産、水産加工品にも使用され、保湿性やテクスチャーの改善に貢献しま
カタラーゼは、過酸化水素を分解する酵素であり、主に食品の殺菌後の過酸化水素の除去や、過酸化水素を利用した漂白処理後の残留過酸化水素の除去などに利用されます。
⭕️(3) 果糖ぶどう糖液糖 – グルコースイソメラーゼ
果糖ぶどう糖液糖は、ブドウ糖を多く含む液糖から、酵素の力でその一部を果糖に変えることで作られます。このときに使われるのがグルコースイソメラーゼです。
果糖ぶどう糖液糖は、まずデンプンをアミラーゼで分解してブドウ糖液糖(グルコース液糖)を作ります。その後、このブドウ糖液糖にグルコースイソメラーゼという酵素を作用させることで、ブドウ糖の一部を果糖に異性化(構造変換)させます。
果糖はブドウ糖よりも甘味が強いため、甘味度を高める目的でこの酵素が利用されます。
果糖ブドウ糖は何に使われている?
- 清涼飲料水:
- 最も代表的な用途です。低温で甘味を強く感じる果糖の特性が、冷たい飲み物に適しています。
- 砂糖と比較して安価であるため、コスト削減に貢献します。
- 加工食品全般:
- パン、菓子、乳製品(ヨーグルト、アイスクリームなど)、調味料(ケチャップ、ソース、ドレッシングなど)、シリアルなど、非常に多くの加工食品に利用されています。
- 液状であるため、他の材料と混ざりやすく、製造工程での取り扱いが容易です。
- 結晶化しにくい性質があるため、製品の品質を安定させます。
✖️(4) 食用油脂 – トランスグルタミナーゼ
トランスグルタミナーゼは、食用油脂ではなく、主にたんぱく質同士を結びつける(架橋する)酵素で、肉や魚の加工品などに使われます。
トランスグルタミナーゼは、タンパク質中のリジン残基とグルタミン残基の側鎖を架橋し、タンパク質分子間に共有結合を形成する酵素です。この働きを利用して、肉製品の結着性を高めたり、豆腐の食感を改善したり、麺類のコシを強くしたりするなど、様々な食品の物性改良に利用されます。
食用油脂の加工には、リパーゼ(脂質分解酵素)やリポキシゲナーゼ(脂質酸化酵素)などが関与することはありますが、トランスグルタミナーゼは利用されません。
✖️(5) 成型肉 – ペクチナーゼ
成型肉は、肉の切れ端などをつなぎ合わせるために、主にトランスグルタミナーゼという酵素や卵白などが使われます。
成型肉は、牛肉や豚肉の小片を集めて、結着剤(トランスグルタミナーゼやカゼインナトリウム、卵白など)を用いて固めた肉製品です。これにより、肉の見た目や食感を整え、歩留まりを向上させることができます。
ペクチナーゼは、植物の細胞壁の構成成分であるペクチンを分解する酵素であり、果汁の清澄化、野菜や果物の軟化、ワインの製造などで用いられます。

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