第39回管理栄養士国家試験(57問目)
食べ物と健康
第39回【57問目】食品表示基準に基づく一般用加工食品の表示に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1) 脂質は、補給ができる旨の表示に関する基準値がある。
(2) 不飽和脂肪酸の量は、表示が推奨されている。
(3) 食塩を使用していない場合は、ナトリウムの含有量にかかわらず食塩相当量を「0」と表示できる。
(4) 「甘さひかえめ」は、糖類が低減された旨の表示ではない。
(5) 大豆を原材料に含む場合は、アレルゲンとしての表示が義務づけられている。
厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf
第39回【57問目】食品表示基準に基づく一般用加工食品の表示に関する問題、解説スタート!
この問題の正解は、 (4)「甘さひかえめ」は、糖類が低減された旨の表示ではない。です!


第39回【57問目】食品表示基準に基づく一般用加工食品の表示に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

食品表示法とは?
消費者が食品を選ぶ際に、安全で適切な判断ができるように、食品に関する様々な情報を表示することを義務付けている法律です。
管理栄養士としては、食品の専門家として、この法律を理解し、消費者や患者さんに正しく情報提供できることが求められます。また、食中毒やアレルギーなど、健康被害を防ぐためにも、食品表示の知識は不可欠です。
食品表示法は広範ですが、国家試験で問われやすいのは以下の点です。
1. 表示の基本原則
邦文表示(日本語):読みやすく、理解しやすい用語で正確に表示すること。
見やすい場所への表示:容器包装を開封しないでも容易に見ることができる見やすい箇所に表示すること。
文字の大きさ:原則8ポイント以上(約2.82mm)であること。
2. 義務表示事項(必ず表示しなければならない項目)
・名称:その食品が何であるかを示す名称(例:菓子、パン、清涼飲料水など)。
・原材料名:使用した原材料を、占める重量の割合の高いものから順に記載。
・アレルギー表示:特定原材料7品目(えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生)と、特定原材料に準ずる21品目について表示が義務付けられています。特に、特定原材料7品目は必ず覚えてください!
・食品添加物:使用した食品添加物を表示。用途名(着色料、保存料など)と物質名を併記することが原則。
・遺伝子組換え食品:遺伝子組換え食品である旨、または遺伝子組換え農産物とそうでない農産物を分別していない旨などを表示。
内容量:その食品の量(g、ml、個数など)。
【消費期限または賞味期限】
・消費期限:安全に食べられる期限。傷みやすい食品に表示される。
・賞味期限:おいしく食べられる期限。比較的傷みにくい食品に表示される。
・保存方法:その食品を適切に保存するための方法(例:直射日光を避け、常温で保存、要冷蔵など)。
・食品を製造した者の氏名又は名称及び住所:製造者、加工者、輸入者などの情報。
・製造所固有記号:製造所が複数ある場合に、固有の記号で表示することも可能。消費者からの問い合わせに対応できる体制が求められる。
【栄養成分表示】
・義務表示5項目:エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量
・表示の省略条件:表示面積が小さい場合(およそ30平方センチメートル以下)や、栄養の供給源として寄与しない食品(例:水、酒類、香辛料など)は省略可能。ただし、特定保健用食品や機能性表示食品は表示義務があるため注意!
・「0(ゼロ)」表示の基準:栄養成分がごく微量の場合に「0」と表示できる基準値があります。これも細かいですが、過去問で問われることがあるので確認しておきましょう。(例:熱量5kcal未満、たんぱく質・脂質・炭水化物0.5g未満など)
※ナトリウムは含まれない
3. 任意表示事項
・特定保健用食品、機能性表示食品などの保健機能食品に関する表示
・原産地表示(任意ですが、生鮮食品では義務の場合が多い)
・容器包装リサイクル識別表示マークなど
4. 表示の免除
・加工助剤:食品の製造過程で用いられ、その食品に最終的に残らないか、残ってもごく微量で、その食品に影響を与えないもの。
・キャリーオーバー:原材料の製造過程で使われた添加物が、最終製品にはごく微量しか含まれず、その添加物の効果が発揮されないもの。
・バラ売り食品:計り売りなどで販売される食品。
・表示可能面積がおおむね30cm2以下の食品:ただし、特定保健用食品や機能性表示食品は免除されない点に注意!
・栄養強化目的の添加物:ビタミン、ミネラルなど、栄養強化を目的として添加されたものは、表示が免除される場合がある(ただし、着色料など他の目的の場合は表示が必要)。

✖️(1) 脂質は、補給ができる旨の表示に関する基準値がある。
脂質は「補給ができる旨」の表示(「強化された」など)に関する基準値はありません。これは「高脂肪」などの強調表示の基準とは異なります。
食品表示基準において、「高脂肪」「低脂肪」といった特定の栄養成分の量を強調する表示には基準値が設けられています。
しかし、「補給ができる旨」という表示は、特定の栄養素を強化したことを示すものであり、脂質はその対象ではありません。例えば、ビタミンやミネラルなどでは「強化」の表示基準が設定されています。
✖️(2) 不飽和脂肪酸の量は、表示が推奨されている。
食品表示基準において、表示が義務付けられているのはエネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量です。
不飽和脂肪酸の量は、栄養成分表示における任意表示項目(表示しなくてもよい項目)であり、推奨されているものではありません。
義務表示
食品表示基準では、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の5項目を「義務表示」としています。
それ以外の栄養成分(飽和脂肪酸、食物繊維、コレステロール、ミネラル、ビタミンなど)は「任意表示」であり、事業者の判断で表示することができますが、特に不飽和脂肪酸の表示が「推奨」されているわけではありません。
✖️(3) 食塩を使用していない場合は、ナトリウムの含有量にかかわらず食塩相当量を「0」と表示できる。
食塩を使っていなくても、食品に元々含まれるナトリウムがあれば、それは食塩相当量として計算されます。だから、ナトリウムの含有量にかかわらず「0」と表示することはできません。
食塩相当量の出し方
食塩相当量は「ナトリウム量(mg)× 2.54 ÷ 1000」で算出されます。
食品には、食塩を加えていなくても、原材料由来のナトリウムが含まれていることがあります(例えば、牛乳や野菜など)。
この原材料由来のナトリウムも食塩相当量の計算に含まれるため、食塩を加えていないからといって、必ずしも食塩相当量が「0」になるわけではありません。
食塩相当量を「0」と表示できるのは、実際にナトリウム含量が極めて低い場合に限られます。
⭕️(4) 「甘さひかえめ」は、糖類が低減された旨の表示ではない。
「甘さひかえめ」という表現は、あくまで味の感覚を表すもので、食品表示基準で定められた「糖類〇〇%オフ」のように、糖類が減らされたことを示す特定の基準表示ではありません。
食品表示基準では、「低減された旨の表示」(例:低糖質、糖類オフなど)を行う場合には、一定の基準(例:糖類ゼロ:0.5g/100g以下、糖類控えめ:2.5g/100g以下など)を満たす必要があります。
「甘さひかえめ」は、これらの基準に該当しない、一般的な表現であり、消費者が受け取る味の印象を示すものです。そのため、必ずしも糖類が基準値以下に低減されていることを意味しません。
✖️(5) 大豆を原材料に含む場合は、アレルゲンとしての表示が義務づけられている。
大豆は、食物アレルギーを起こしやすい食品として、表示が推奨付けられている「特定原材料」の一つです。
食品表示基準では、アレルギー表示が義務付けられている「特定原材料」と、表示が推奨されている「特定原材料に準ずるもの」があります。卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かにとともに、特定原材料として表示が義務付けられています。
これは、アレルギーを持つ消費者が安全に食品を選ぶための重要な情報となります。
表示 | 品目 | |
特定原材料 | 表示義務 | えび・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生(ピーナッツ) |
特定原材料に準ずるもの | 表示推奨 | アーモンド・あわび・いか・いくら・オレンジ・カシューナッツ・キウ イフルーツ・牛肉・ごま・さけ・さば・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・マ カダミアナッツ・もも・やまいも・りんご・ゼラチン |
※ 特定原材料に準ずるカシューナッツについては、現在、木の実類の中でくるみに次いで症例数の増加等が認められることから、アレルギー表示をしていない食品関連事業者等におかれては、可能な限り表示するようにより一層努める必要がある

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