管理栄養士国家試験問題・解説

第39回【35問目】呼吸器疾患に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

Sponsored Link

第39回管理栄養士国家試験(35問目)

人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

第39回【35問目】呼吸器疾患に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ

(1) COPD に対する治療には、在宅酸素療法がある。

(2) 気管支喘息では、発作時に気道が拡張する。

(3) 肺結核に対する予防接種には、ツベルクリン反応がある。

(4) マイコプラズマ肺炎は、ウイルス性肺炎である。

(5) クリプトコッカス肺炎は、細菌性肺炎である。

厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf

第39回【35問目】呼吸器疾患に関する問題、解説スタート!

この問題の正解は、(1) COPD に対する治療には、在宅酸素療法がある。 です!

黒アザラシ
黒アザラシ
なんでこれが正解で、他の選択肢は違うの??

しろくまさん
しろくまさん
じゃあ、一つずつ詳しく見ていこうね!

第39回【35問目】呼吸器疾患に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ

⭕️(1) COPD に対する治療には、在宅酸素療法がある。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)で肺の機能がとても悪くなってしまった患者さんに対して、家で酸素吸入ができるようにする「在宅酸素療法」は、大切な治療法の一つです。

COPDとは?

COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:慢性閉塞性肺疾患)は、主に長年の喫煙などが原因で、気道が狭くなり、肺の弾力性が失われることで、呼吸がしにくくなる進行性の病気です。

病気が進行して血液中の酸素濃度が慢性的に低下する(慢性呼吸不全)状態になった場合、自宅で酸素を吸入する在宅酸素療法(HOT: Home Oxygen Therapy)が行われます。
これにより、体の酸素不足を補い、日常生活の質(QOL)の向上や、生命予後の改善を目指します。呼吸リハビリテーションや薬物療法(気管支拡張薬など)と並んで、COPDの重要な治療法の一つです。

✖️(2) 気管支喘息では、発作時に気道が拡張する。

気管支喘息の発作が起きると、気道は逆にキュッと狭くなって(収縮して)しまいます。

しろくまさん
しろくまさん
「ヒューヒュー」「ゼーゼー」と苦しくなっている理由だよ

気管支喘息は、気道に慢性的な炎症があり、様々な刺激に対して気道が過敏に反応し、発作的に気道が狭くなる(気道狭窄)ことを特徴とする病気です。
発作時には、気管支を取り巻く平滑筋が収縮し、気道の粘膜が腫れ(浮腫)、分泌物(痰)が増えることで、空気の通り道が非常に狭くなります。

これにより、喘鳴(ぜんめい)と呼ばれる「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という呼吸音や、呼吸困難、咳などの症状が現れます。気道は拡張するのではなく、むしろ収縮します。

✖️(3) 肺結核に対する予防接種には、ツベルクリン反応がある。

 ツベルクリン反応は、結核菌に感染したことがあるかを調べる検査で、予防接種ではありません。結核の予防接種は「BCG(ビーシージー)」です。

ツベルクリン反応とBCGの違い

ツベルクリン反応結核菌の成分を皮膚に注射し、その後の皮膚の反応を見て、過去に結核菌に感染したことがあるかどうかあるいはBCG接種による免疫があるかどうかを調べる検査です。これにより結核の診断補助やスクリーニングが行われます。

BCG(Bacille de Calmette et Guérin)結核菌に対するワクチン(予防接種)です。主に乳幼児期に接種され、重症の結核(結核性髄膜炎や粟粒結核など)の発症を予防する効果が期待されます。

したがって、ツベルクリン反応は予防接種ではなく検査です。

✖️(4) マイコプラズマ肺炎は、ウイルス性肺炎である。

マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマ」という細菌の一種が原因で起こる肺炎です。ウイルスが原因ではありません。
肺炎は、その原因となる病原体によって分類されます。

肺炎の分類

細菌性肺炎肺炎球菌、インフルエンザ菌、マイコプラズマ、クラミジアなどが原因となる肺炎です。マイコプラズマは、細胞壁を持たない特殊な細菌であり、一般的な抗菌薬(細胞壁合成を阻害するタイプ)が効かないことがあります。
ウイルス性肺炎インフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、サイトメガロウイルスなどが原因となる肺炎です。

このように、マイコプラズマは細菌に分類されます。

✖️(5) クリプトコッカス肺炎は、細菌性肺炎である。

 クリプトコッカスは、真菌(カビ)の一種です。この真菌が原因で起こる肺炎なので、「真菌性肺炎」に分類されます。細菌性肺炎ではありません。

肺炎の原因病原体は、細菌、ウイルス、真菌(カビ)、寄生虫など多岐にわたります。

クリプトコッカス(Cryptococcus neoformans)は、土壌や鳥の糞などに生息する酵母状の真菌です。これを吸い込むことで、特に免疫力が低下している人(HIV感染者、臓器移植患者、ステロイド治療中の患者など)において、肺に感染しクリプトコッカス肺炎を引き起こすことがあります。

また、肺から脳に広がり、クリプトコッカス髄膜炎を起こすこともあります。 したがって、クリプトコッカス肺炎は真菌性肺炎であり、細菌性肺炎ではありません。

←前の問題へ
no image
第39回【34問目】呼吸器系の構造と機能に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

第39回管理栄養士国家試験(34問目) 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち 第39回【34問目】呼吸器系の構造と機能に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。 (1) 呼吸中枢は、大脳皮質に ...

続きを見る

次の問題へ→
no image
第39回【36問目】平滑筋に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

第39回管理栄養士国家試験(36問目) 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち 第39回【36問目】平滑筋に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ (1) 細胞は円柱形である。 (2) 横紋が観 ...

続きを見る

Sponsored Link

-管理栄養士国家試験問題・解説