第39回管理栄養士国家試験(50問目)
食べ物と健康
第39回【50問目】食品の変質に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1) 食品中の生菌数が 10(3)個/g を超えると、初期腐敗と判定される。
(2) トリメチルアミンは、肉類における初期腐敗の指標である。
(3) ヘテロサイクリックアミンは、非酵素的褐変により生成する。
(4) 油脂の自動酸化は、不飽和脂肪酸から水素原子が脱離することで開始する。
(5) K値は、ATP 関連化合物の酵素的分解が進むと低下する。
厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf
第39回【50問目】食品の変質に関する問題、解説スタート!
この問題の正解は、(4) 油脂の自動酸化は、不飽和脂肪酸から水素原子が脱離することで開始する。です!


第39回【50問目】食品の変質に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
✖️(1) 食品中の生菌数が 10(3)個/g を超えると、初期腐敗と判定される。
初期腐敗と判定される生菌数は、一般的に10(7)〜10(8)個/gが目安とされています。
103個/gは、まだ初期腐敗の段階ではありません。
食品中の微生物は、時間が経つにつれて増殖し、食品の成分を分解して、異臭やぬめりなどの腐敗現象を引き起こします。
生菌数が103個/gは、一般的な食品でも見られるレベルであり、腐敗の判断基準としては10(7)〜10(8)個/gが目安とされています。ただし、食品の種類や保存条件によってこの基準は異なります。
✖️(2) トリメチルアミンは、肉類における初期腐敗の指標である。
トリメチルアミンは、主に魚介類が腐敗したときに発生する、あの生臭い匂いの原因物質です。肉類の腐敗指標ではありません。
トリメチルアミンとは?
トリメチルアミン(TMA)は、魚介類に多く含まれるトリメチルアミンオキシド(TMAO)が、微生物によって還元されることで生成します。
トリメチルアミン(TMA)は非常に特徴的な生臭い匂いを持つため、魚介類の鮮度低下や腐敗の指標として用いられます。
肉類の場合は、アンモニアや硫化水素などが腐敗の指標となります。
✖️(3) ヘテロサイクリックアミンは、非酵素的褐変により生成する。
ヘテロサイクリックアミン(HCA)は、肉などを高温で調理したときに、アミノ酸や糖などが複雑な反応を起こしてできる物質です。非酵素的褐変(メイラード反応など)とは、生成メカニズムが異なります。
非酵素的褐変(メイラード反応)とは
非酵素的褐変(メイラード反応)は、糖とアミノ酸が加熱によって反応し、褐色の色素(メラノイジンなど)を生成する反応で、パンの焼き色やコーヒーの色などがこれにあたります。
一方、ヘテロサイクリックアミンは、肉や魚を焼いたり揚げたりする際に、筋肉中のクレアチン(またはクレアチニン)、アミノ酸、糖などが複雑な化学反応を経て生成する発がん性物質が疑われる化合物です。生成経路が異なるため、非酵素的褐変とは区別されます。

⭕️(4) 油脂の自動酸化は、不飽和脂肪酸から水素原子が脱離することで開始する。
油脂が空気中の酸素によって劣化する「自動酸化」は、不飽和脂肪酸の特定の場所から水素が引き抜かれることから始まります。
油脂の自動酸化は、主に不飽和脂肪酸の二重結合の隣にあるメチレン基(−CH2−)の水素原子が、熱や光、金属などの影響で非常に不安定な「ラジカル」として脱離することから始まります。この水素原子が脱離すると、その部分に不対電子を持つフリーラジカルが生成され、これが連鎖的に他の分子から水素を引き抜き、酸化反応がどんどん進んでいきます。この反応は「開始期」と呼ばれます。
✖️(5) K値は、ATP 関連化合物の酵素的分解が進むと低下する。
K値は、魚などの鮮度を示す指標ですが、ATP関連物質の分解が進むと、K値は上昇します。
K値とは
K値は、魚肉の鮮度を示す指標として広く用いられます。
魚が死んだ後、筋肉中のATP(アデノシン三リン酸)は、酵素の働きによってADP、AMP、イノシン(HxR)、ヒポキサンチン(Hx)と段階的に分解されていきます。K値は、ATPとADP、AMPの合計に対するイノシンとヒポキサンチンの割合で表されます。
つまり、鮮度が落ちてATP関連物質の分解が進むほど、イノシンとヒポキサンチンが増加するため、K値は上昇します。K値が低いほど鮮度が良いことを示します。
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