第39回管理栄養士国家試験(31問目)
人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
第39回【31問目】A 群β溶血性連鎖球菌感染を契機とする急性糸球体腎炎に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1) 高齢者に多い。
(2) 感染後1~3日で発症する。
(3) 高血圧を引き起こす。
(4) 血清中の補体価は上昇する。
(5) 半数以上は慢性化する。
厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf
第39回【31問目】A群β溶血性連鎖球菌感染を契機とする急性腎炎にに関する問題、解説スタート!
この問題の正解は、(3) 高血圧を引き起こす。です!


【31問目】A 群β溶血性連鎖球菌感染を契機とする急性糸球体腎炎に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
✖️(1) 高齢者に多い。
この病気は、特に子供、中でも小学生くらいのお子さん(特に5~15歳くらい) によく見られます。高齢者にはあまり多くありません。
1. 急性糸球体腎炎って何?
腎臓には「糸球体(しきゅうたい)」っていう、血液をろ過して老廃物をおしっこにするフィルターがあるんだけど、ここが炎症を起こして機能が悪くなっちゃう病気のことだよ。
2. なんで溶連菌が関係するの?
溶連菌に感染すると、体は菌をやっつけるために「抗体」っていうものを作るんだけど、この抗体が間違って自分の体の糸球体も攻撃しちゃうことがあるんだ。これを「免疫複合体」っていうんだけど、これが糸球体にたまることで炎症が起きるんだね。
✖️(2) 感染後1~3日で発症する。
溶連菌に感染してから、腎臓の症状が出るまでには少し時間がかかります。だいたい1〜3週間後くらいに発症することが多いです。
急性糸球体腎炎は、溶連菌感染症に対する体の免疫反応が、なぜか腎臓の糸球体を攻撃してしまうことで起こります。
この免疫反応が起こり、腎臓に影響が出るまでにはタイムラグがあります。
一般的な溶連菌感染(咽頭炎など)の後には約1〜2週間、皮膚感染(膿痂疹など)の後には約3〜6週間後に発症することが多いとされています。1~3日というのは非常に早く、通常の感染症の発症期間と同じくらいで、免疫反応による病気としては短すぎます。
⭕️(3) 高血圧を引き起こす。
急性糸球体腎炎になると、腎臓の機能が悪くなって体の中の水分や塩分がうまく排出されにくくなります。その結果、体液量が増えて高血圧になることが多いです。
急性糸球体腎炎では、炎症によって糸球体の濾過機能が低下します。
これにより、水分やナトリウム(塩分)の排泄が滞り、体内に貯留しやすくなります。体液量が増加すると、心臓から送り出される血液量が増え、血管にかかる圧力が上昇するため、高血圧を引き起こします。浮腫(むくみ)も同様のメカニズムで起こる典型的な症状です。
✖️(4) 血清中の補体価は上昇する。
補体価(ほたいか)は、免疫反応に使われる「補体」という物質の量を示します。急性糸球体腎炎では、この補体がたくさん使われてしまうので、血液中の補体の量はむしろ低下します。
補体は、免疫反応において重要な役割を果たすタンパク質群です。
急性糸球体腎炎は、免疫複合体が糸球体に沈着し、補体系が活性化されることで炎症が起こります。この補体の活性化によって、血液中の補体(特にC3やC4)が消費されるため、血清中の補体価は「低下」することが特徴的です。この補体価の低下は、本疾患の診断の参考になります。
✖️(5) 半数以上は慢性化する。
急性糸球体腎炎は、ちゃんと治療すれば、ほとんどのケースで良くなります。慢性化することはごく一部で、半数以上が慢性化することはありません。
急性糸球体腎炎の予後は比較的良好で、小児の場合、適切な治療が行われれば80~90%以上が完全に回復するとされています。慢性化するケースは稀で、特に小児では数%程度にとどまります。ただし、成人で発症した場合や、重症例、高齢者の場合は、慢性化のリスクが若干高まることもあります。定期的な経過観察が重要です。
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