生化学

5)プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチドの分解

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ここでは、プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチドの分解について、それらの違いを含めて確認していきましょう。

プリンヌクレオチドの分解

プリンヌクレオチド(AMPやGMPなど)の分解過程では、最終的に尿酸を生じます。

プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチドの分解

AMPはヒポキサンチン(プリン塩基)へと変換されて、GMPはグアニン(プリン塩基)へと変換された後、キサンチンを経て、最終的に尿酸へと分解されていきます。

AMPから「ヒポキサンチン」への変換

AMPから「ヒポキサンチン」への変換

AMPIMPイノシンヒポキサンチン

AMPアデノシンイノシンヒポキサンチン

イノシンはヌクレオシド(糖と塩基からなる)の一種で、IMP(イノシン酸)の脱リン酸反応アデノシンの脱アミノ反応の両方で生成します。

AMPからIMPへの変換AMPデアミナーゼという酵素によってAMPが脱アミノされることで行われます。

プリンヌクレオチドの分解

GMPから「グアニン」への変換

GMPから「グアニン」への変換

GMPグアノシングアニン

メモ

上記反応におけるイノシン(ヌクレオシド)やグアノシン(ヌクレオシド)は、プリンヌクレオシドホスホリラーゼという酵素によって加リン酸分解されて、それぞれヒポキサンチン(プリン塩基)とグアニン(プリン塩基)へと変換されます。

※ホスホリラーゼとは、ある化合物と無機リン酸Pi)とを基質としてその化合物をリン酸化(または加リン酸分解)する酵素のことです。

ヒポキサンチンとグアニンから「キサンチン」への変換

ヒポキサンチンとグアニンは、
それぞれキサンチンデヒドロゲナーゼ(酸化)とグアニンデアミナーゼ(脱アミノ)の作用によって、キサンチンへと変換されます。

キサンチンから「尿酸」への変換

キサンチンはさらに、キサンチンデヒドロゲナーゼ(酸化)の作用によって
最終的に尿酸へと変換されて、腎臓から排泄されます。

尿酸の構造式
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Harnsäure_Ketoform.svg

体内で尿酸が過剰になると、関節にたまって結晶化し「痛風」の原因になることも有名です。

ピリミジンヌクレオチドの分解

ピリミジンヌクレオチド(UMPやCMPなど)の分解過程では、ピリミジン塩基が最終的に開裂してアンモニア(NH4)を生成するとともにアセチルCoAスクシニルCoAにまで分解されます。

UMPとCMPから「ウラシル」への変換

UMPとCMPから「ウラシル」への変換

UMPウリジンウラシル

CMP シチジン→ウリジン→ウラシル

※CMPはシチジンへと変換された後、シチジンデアミナーゼの作用によって脱アミノされてウリジンに変換されます。

ピリミジンヌクレオチドの分解

TMPから「チミン」への変換

TMPから「チミン」への変換

TMPチミジンチミン

メモ

上記反応におけるウリジン(ヌクレオシド)やチミジン(ヌクレオシド)は、それぞれウリジンホスホリラーゼチミジンホスホリラーゼという酵素によって加リン酸分解されて、それぞれウラシル(プリン塩基)とチミン(プリン塩基)へと変換されます。

※ホスホリラーゼとは、ある化合物と無機リン酸Pi)とを基質としてその化合物をリン酸化(または加リン酸分解)する酵素のことです。

ウラシルとチミンから「β-アラニン」と「β-アミノイソ酪酸」への変換

ウラシル(U)とチミン(T)は、ピリミジン環が開裂して、
最終的にそれぞれβ-アラニンβ-アミノイソ酪酸まで分解されます。

この過程で、アンモニア(NH4)が生じます。

β-アラニンとβ-アミノイソ酪酸は、さらにそれぞれアセチルCoAスクシニルCoAまで分解されて、クエン酸回路でCO2にまで分解されます。

プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチドの分解についてはこれで以上です。
次は「1)シグナル分子やシグナル伝達の考え方(細胞間シグナル伝達)」について学んでいきましょう。

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