分子生物学

2)「ゲノム」「染色体」「核酸」「DNA」「遺伝子」の定義と違い

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1.ゲノムとは

 ゲノムとは、生物がもつすべての遺伝情報のことをいいます。ヒトの場合、父親と母親それぞれの配偶子に由来する染色体を23本ずつ受けとりますので、合計46本の染色体が含まれていることになります。すなわち、ヒトの場合では、父親由来のゲノムと母親由来のゲノムの2ゲノムを保持していることになります(これを2倍体といいます)。

 言いかえるならば、「配偶子に含まれるすべての遺伝情報がゲノムである」ともいえます。

2.染色体とは

 染色体とは、DNAがヒストンと呼ばれる塩基性タンパク質に巻きつき、クロマチン構造をとり、さらにこれが幾重にも折りたたまれ、高度に凝集された構造体のことをいいます。

 DNAはクロマチン構造、染色体としての構造をもつことによって、遺伝子発現の調節なども巧みに制御しています。

3.核酸・DNAとは

 核酸とは、もともと核内に存在する酸性物質ということから名付けられましたが、いわゆるDNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)のことです。DNAには遺伝情報が塩基配列として保持されています。

4.遺伝子とは

 遺伝子とは、DNAに含まれる遺伝情報の1つの単位のことをいいます。DNAには、遺伝子としての情報をもった領域とそうでない領域があります。すなわち、DNAにはmRNAへと転写されタンパク質へと翻訳されて機能するDNA領域やタンパク質へと翻訳されずに機能するDNA領域が含まれており、この領域の1つ1つを遺伝子といいます。

 タンパク質をコードしないDNAの領域の例は、RNAとして機能する分子であるtRNA(転移RNA)、rRNA(リボソームRNA)、機能性ncRNA(non codingRNA)などがあります。近年では、これらも遺伝形質を規定する因子であることから、遺伝子として考えられています。

これで「ゲノム」「染色体」「核酸」「DNA」「遺伝子」の定義と違いについては以上です。
次は「3)DNAとRNAの定量法と純度」について学んでいきましょう。

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