第39回管理栄養士国家試験(72問目)
基礎栄養学
第39回【72問目】空腹時と比べたときの食後の糖質代謝に関する記述である。 最も適当なのはどれか。1つ選べ。
⑴ 骨格筋への血中グルコースの取り込みが抑制される。
⑵ 肝臓グリコーゲンの合成が抑制される。
⑶ グルコースからの脂肪酸の合成が亢進する。
⑷ 乳酸からのグルコースの合成が亢進する。
⑸ アラニンからのグルコースの合成が亢進する。
第39回【72問目】空腹時と比べたときの食後の糖質代謝に関する問題、解説スタート!
この問題の正解は、(3) グルコースからの脂肪酸の合成が亢進する。 です!


第39回【72問目】空腹時と比べたときの食後の糖質代謝に関する記述である。 最も適当なのはどれか。1つ選べ。
✖️(1) 骨格筋への血中グルコースの取り込みが抑制される。
食後は血糖値が上がるため、それを下げるためにインスリンが分泌されます。インスリンは、骨格筋へのグルコースの取り込みを促進します。
食事を摂ると、消化吸収によって血中のグルコース濃度が上昇します。
これに応答して膵臓からインスリンが分泌され、インスリンは骨格筋や脂肪細胞に作用し、グルコース輸送体(GLUT4)を細胞膜に移行させてグルコースの取り込みを促進します。これにより、血糖値が低下します。
✖️(2) 肝臓グリコーゲンの合成が抑制される。
食後は余ったグルコースを貯蔵するために、肝臓グリコーゲンの合成が促進されます。
インスリンは、肝臓にも作用し、グルコースをグリコーゲンとして合成する酵素(グリコーゲンシンターゼ)を活性化させます。
これにより、血中の過剰なグルコースがグリコーゲンとして肝臓に蓄えられ、食後の高血糖が抑えられます。空腹時には、逆にグリコーゲンの分解が促進されます。

⭕️(3) グルコースからの脂肪酸の合成が亢進する。
食事によって糖質を多く摂取し、グリコーゲンとして貯蔵しきれなかった余分なグルコースは、脂肪酸へと変換され、脂肪として蓄えられます。このため、食後はグルコースからの脂肪酸の合成が亢進します。

血液中のグルコース濃度が高くなると、インスリンの作用によって肝臓や脂肪組織でグルコースからアセチルCoAが生成され、これが脂肪酸合成の材料となります。この合成された脂肪酸は、トリグリセリド(中性脂肪)として脂肪細胞に貯蔵されます。これは、エネルギーを長期的に貯蔵するための重要な仕組みです。
✖️(4) 乳酸からのグルコースの合成が亢進する。
乳酸からグルコースを作る「糖新生」は、血糖値が低い空腹時に亢進します。食後ではありません。
糖新生は、血糖値が低下した際に、アミノ酸や乳酸、グリセロールといった非糖質の物質からグルコースを新しく作り出す経路です。
これは、主に肝臓で行われ、血糖値を維持するための重要な役割を担います。食後は血糖値が十分にあるため、糖新生は抑制されます。
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1)糖新生の役割
1.糖新生とは 糖新生は、飢餓状態において主に肝臓で炭水化物以外の基質から グルコースを生合成する経路のことです。 ※腎臓においても一部的に糖新生は行われます。 糖新生の反応(ピルビン酸から) 2ピル ...
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✖️(5) アラニンからのグルコースの合成が亢進する。
アラニン(アミノ酸)からグルコースを作る糖新生は、上記(4)と同様に、血糖値が低い空腹時に亢進します。
糖新生の主要な材料の一つが、筋肉から放出されるアラニンなどのアミノ酸です。空腹時に血糖値が下がると、肝臓はアラニンを取り込み、糖新生によってグルコースを合成し、血中に供給することで血糖値を維持します。食後には、この経路はインスリンによって抑制されます。
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