管理栄養士国家試験問題・解説

第39回【54問目】食品中の有害物質に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

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第39回管理栄養士国家試験(54問目)

食べ物と健康

第39回【54問目】食品中の有害物質に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1) アフラトキシンM1は、主に落花生から検出される。

(2) パツリンは、主に米から検出される。

(3) ベンゾ[a]ピレンは、主に果物から検出される。

(4) 異常プリオンは、牛の扁桃に蓄積しやすい。

(5) セシウム137は、主に骨に沈着する。

厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf

第39回【54問目】食品中の有害物質に関する問題、解説スタート!

この問題の正解は、 (4) 異常プリオンは、牛の扁桃に蓄積しやすい。です!

黒アザラシ
黒アザラシ
なんでこれが正解で、他の選択肢は違うの??

しろくまさん
しろくまさん
じゃあ、一つずつ詳しく見ていこうね!

第39回【54問目】食品中の有害物質に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

✖️(1) アフラトキシンM1は、主に落花生から検出される。

アフラトキシンM1は、主にカビ毒のアフラトキシンB1が牛の体内で代謝されて牛乳中に移行するものです。落花生からは、その元となるアフラトキシンB1が検出されやすいです。

アフラトキシンって、何者?

簡単に言うと、カビが作る毒のこと!特に、ピーナッツとかトウモロコシなんかの食品に、管理が悪かったりすると生えちゃう「アスペルギルス属」っていうカビが犯人なんだ。

いくつか種類があるんだけど、試験でよく出るのはこの2つだから、しっかり覚えよう!

① アフラトキシンB1

これが一番厄介なやつ。自然界にある物質の中で、一番強い発がん性があるって言われてるんだ。

症状: 主に肝臓を狙ってきて、長期的に摂り続けると肝臓がんのリスクが高まる

含有物: ピーナッツ、トウモロコシ、あとはアーモンドとかピスタチオなんかのナッツ類に隠れてることが多いよ。これらを買うときは、カビが生えてないかチェックしてね!

② アフラトキシンM1(AFM1)

B1の進化形?: アフラトキシンB1を牛が食べちゃった後、その牛の体の中でできる毒なんだ。

含有物: 牛乳だよ!

しろくまさん
しろくまさん
だから、小さい赤ちゃんが飲む牛乳には、M1が混じってないか国の基準でしっかりチェックされてるよ。

B1と比べて?: B1よりは毒性は低いって言われてるけど、それでも油断は禁物だよ!

ポイント

カビ毒カビが作る毒だってこと、忘れちゃダメだよ。

熱に強い普通に料理で加熱しても、なかなか壊れてくれないんです。だから、そもそもカビを生やさないのが一番大事です!

肝臓がんのリスク:主に肝臓を狙ってきて、長期的に摂り続けると肝臓がんのリスクが高まる

対策は?

一番は「カビを生やさないようにすること」!食品はちゃんと保存して、カビが生えてそうなものはもったいないけど食べないのが鉄則だよ。

✖️(2) パツリンは、主に米から検出される。

パツリンは、主にカビが生えたリンゴなどの果物やその加工品から検出されるカビ毒です。米から検出されることはほとんどありません。

パツリンとは

パツリンは、ペニシリウム属のカビによって産生されるマイコトキシン(カビ毒)です。
特に、傷んだンゴやナシなどの果物に発生しやすく、リンゴジュースなどの加工品からも検出されることがあります。

米に発生するカビ毒としては、オクラトキシンやフモニシンなどが挙げられますが、パツリンは一般的ではありません。

✖️(3) ベンゾ[a]ピレンは、主に果物から検出される。

 ベンゾ[a]ピレンは、ものを燃やしたときに発生する物質で、肉や魚を焼いたときや、タバコの煙などに含まれます。果物から検出されることは通常ありません。

ベンゾ[a]ピレンは、多環芳香族炭化水素(PAHs)の一種で、有機物が不完全燃焼する際に生成される発がん性物質です。
バーベキューで肉や魚を焦がした際や、燻製食品、排気ガス、タバコの煙などに含まれます。

果物そのものから検出されることはまれで、汚染されるとすれば、燻煙されたドライフルーツなどの加工工程が考えられます。

⭕️(4) 異常プリオンは、牛の扁桃に蓄積しやすい。

BSE(牛海綿状脳症)の原因となる異常プリオンは、牛の扁桃、回腸遠位部(小腸の一部)、脳、脊髄などに多く蓄積することが知られています。

異常プリオンは、牛海綿状脳症(BSE、狂牛病)の原因となる病原体で、神経組織に蓄積しやすい特徴があります。

牛の場合、扁桃や回腸遠位部といったリンパ組織、そして脳や脊髄などの特定危険部位(SRM)に高濃度で存在することが確認されています。
これらは食品としての安全性を確保するために、と畜の際に除去される対象となっています。

✖️(5) セシウム137は、主に骨に沈着する。

セシウム137は、主に筋肉や軟部組織に沈着します。骨に沈着しやすいのはストロンチウム90など、カルシウムと似た動きをする放射性物質です。

 セシウム137は、放射性セシウムの一種で、水溶性が高く、体内でカリウムと似た挙動を示します。そのため、カリウムが多く存在する筋肉や軟部組織に広く分布し、蓄積される傾向があります。

一方、ストロンチウム90はカルシウムと似た化学的性質を持つため、骨や歯に蓄積しやすい放射性物質として知られています。

放射線物質の種類と特徴

放射性物質 半減期 主な放出線種 体内での主な挙動・蓄積部位 健康への影響 食品中の主な経路
ヨウ素131 8日 β線、γ線 甲状腺に集中 甲状腺がんのリスク上昇 汚染された牛乳、乳製品、葉物野菜など
セシウム134 2年 β線、γ線 全身の肉、心臓に均一に分布 全身の細胞・臓器への影響、発がんリスク 汚染された肉、魚、穀物、野菜、キノコなど
セシウム137 30年 β線、γ線 全身の筋肉、心臓に均一に分布 全身の細胞・臓器への影響、発がんリスク 汚染された肉、魚、穀物、野菜、キノコなど
ストロンチウム90 29年 β線 骨、歯に集中 骨肉腫、白血病のリスク上昇 汚染された牛乳、乳製品、魚介類、穀物など
コバルト60 5.3年 β線、γ線 全身に分布(肝臓、腎臓、骨など) 全身の細胞・臓器への影響、発がんリスク 主に医療や産業分野での利用による汚染、食品汚染は稀
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