管理栄養士国家試験問題・解説

第39回【43問目】野菜類に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

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第39回管理栄養士国家試験(43問目)

食べ物と健康

第39回【43問目】野菜類に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1) なす果皮のナスニンは、カロテノイド色素である。

(2) とうがらしの辛み成分は、イソチオシアネートである。

(3) ほうれんそうのあく成分は、ホモゲンチジン酸である。

(4) ブロッコリー(花序・ゆで)の可食部 100 g 当たりのビタミン C含量は、だいこん(根・皮なし・生)より多い。

(5) にんじん(根・皮なし・生)の可食部 100 g 当たりのカルシウム含量は、こまつな(葉・生)より多い。

厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf

第39回【43問目】野菜に関する問題、解説スタート!

この問題の正解は、 (4) ブロッコリー(花序・ゆで)の可食部 100 g 当たりのビタミン C含量は、だいこん(根・皮なし・生)より多い。です!

黒アザラシ
黒アザラシ
なんでこれが正解で、他の選択肢は違うの??

しろくまさん
しろくまさん
じゃあ、一つずつ詳しく見ていこうね!

第39回【43問目】野菜類に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

✖️(1) なす果皮のナスニンは、カロテノイド色素である。

ナスニンはアントシアニン色素です。

なすの美しい紫色は、ナスニンという色素によるものです。

このナスニンは、アントシアニン系色素の一種です。

アントシアニンとは

アントシアニンは、ブドウやブルーベリー、赤キャベツなど、多くの植物の赤色~青色の色素成分で、水溶性の色素です。
ポリフェノールの一種で、抗酸化作用があることでも知られています。

カロテノイド色素とは

カロテノイド色素は、トマトの赤色(リコピン)や、にんじんの橙色(β-カロテン)、かぼちゃの黄色(ルテイン)などの成分で、脂溶性の色素です。

✖️(2) とうがらしの辛み成分は、イソチオシアネートである。

とうがらしの辛みはカプサイシンです。

とうがらしを食べた時の「カーッ!」となる辛さは、カプサイシンという成分によるものです。

カプサイシンの効果

カプサイシンは、脂肪の分解を促進したり、血行を良くしたりする作用があると言われています。

イソチオシアネートは、アブラナ科の野菜(大根、わさび、からし、ブロッコリーなど)に含まれる辛み成分です。
大根おろしの辛さや、わさびのツーンとくる辛さはこれが原因です。

効果としては殺菌作用や抗がん作用なども研究されています。成分が全く異なるので、しっかりと区別して覚えましょう。

✖️(3) ほうれんそうのあく成分は、ホモゲンチジン酸である。

ほうれんそうのあくはシュウ酸です。

ほうれんそうをゆでた時に出る「あく」の主な成分はシュウ酸です
シュウ酸は、カルシウムと結合してシュウ酸カルシウムという不溶性の結晶を作りやすく、体内で大量に摂取すると尿路結石の原因になることがあります。

そのため、ほうれんそうは、ゆでて水にさらすことでシュウ酸を減らしてから食べるのが一般的です。管理栄養士としては、調理法のアドバイスとしてこの知識が役立ちますね。

ホモゲンチジン酸は、アミノ酸のチロシンの代謝中間産物です。
特定の遺伝性疾患である「アルカプトン尿症」という病気では、このホモゲンチジン酸の代謝酵素が欠損しているために、体内に蓄積されて問題を引き起こします。食品ではたけのこや里芋などの野菜に多く含みます。健康な食品成分としては、あまり話題になりません。

⭕️(4) ブロッコリー(花序・ゆで)の可食部 100 g 当たりのビタミン C含量は、だいこん(根・皮なし・生)より多い。

ブロッコリーの方が大根よりビタミンCが多いです。

食品の栄養成分を比較する問題は、国家試験で頻出です。おおよその含有量をイメージできるようになると強いですよ。

1位 ピーマン(トマピー):200mg

2位 赤ピーマン(パプリカ):170mg

3位 芽キャベツ:160mg

4位 黄ピーマン(パプリカ):150mg
5位 オレンジピーマン:150mg
6位 ブロッコリー:140mg
7位 とうがらし:120mg
8位 パセリ:120mg
9位 なばな:110mg
10位 カリフラワー:81mg

ブロッコリーは6位とビタミンCが多い食材です。

一方、だいこん(根・皮なし・生)は可食部 100g当たり: 12mgでビタミンCが少ない野菜です。

このように、ブロッコリー(ゆで)の方が大根(生)よりもビタミンC含量がはるかに多いことが分かります。ブロッコリーは、ゆでても豊富なビタミンCを摂取できる優秀な野菜ですね。

✖️(5) にんじん(根・皮なし・生)の可食部 100 g 当たりのカルシウム含量は、こまつな(葉・生)より多い。

こまつなの方がにんじんよりカルシウムが多いです。

こちらも成分表で確認してみましょう。

1位 パセリ:290mg

2位 モロヘイヤ:260mg

3位 しそ:230mg

4位 水菜:210mg
5位 小松菜:170mg
6位 ルッコラ:170mg
7位 つるむらさき:150mg
8位 はくさい(山東菜):140mg
9位 しゅんぎく:120mg
10位 タアサイ:120mg

こまつなは、緑黄色野菜の中でも特にカルシウムが豊富で、牛乳など乳製品以外でカルシウムを摂りたいときに積極的に活用したい野菜です。にんじんと比較すると、こまつなの方が圧倒的にカルシウムを多く含んでいることが分かります。

一方にんじんはβ-カロテンを多く含む食材です。

野菜の中にも、カルシウムを豊富に含むものがあるので、食事指導の際に組み合わせの提案ができると良いですね。

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