管理栄養士国家試験問題・解説

第39回【65問目】揚げ物の調理に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

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第39回管理栄養士国家試験(65問目)

食べ物と健康

第39回【65問目】揚げ物の調理に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1) 揚げ物に用いる油の比熱は、水の約2倍である。

(2) 150°C程度の揚げ油では、天ぷら衣はすぐに浮き広がる。

(3) 魚介の天ぷらの揚げ油の適温は、ドーナッツよりも高い。

(4) フライドポテトの揚げ油の適温は、200°C程度である。

(5) ポテトチップスの吸油率は、かき揚げよりも高い。

厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf

第39回【65問目】揚げ物の調理に関する問題、解説スタート!

この問題の正解は、(3) 魚介の天ぷらの揚げ油の適温は、ドーナッツよりも高い。 です!

黒アザラシ
黒アザラシ
なんでこれが正解で、他の選択肢は違うの??

しろくまさん
しろくまさん
じゃあ、一つずつ詳しく見ていこうね!

第39回【65問目】揚げ物の調理に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

✖️(1) 揚げ物に用いる油の比熱は、水の約2倍である。

比熱とは

物質の温度を1℃上げるために必要な熱量のこと

油は水と比べて、温まりやすくて冷めやすい性質があります。
例えるなら、お風呂のお湯(水)はなかなか温まらないけど、中華鍋の油はすぐに熱くなりますよね? 油のほうが熱を伝えやすいんです。

物理的な言葉で言うと、「比熱」という値が関係しています。水の比熱は非常に高く、油の比熱は水の約半分以下(約0.4〜0.5倍)なんです。そのため、油は水よりも少ない熱量で温度が大きく変化します。揚げ物をする際に、食材を入れると油の温度が一時的に下がりますが、これは油の比熱が小さい(まりやすく冷めやすい)特性が影響しています。

✖️(2) 150°C程度の揚げ油では、天ぷら衣はすぐに浮き広がる。

150℃だと、天ぷらを揚げるには少し温度が低いんです。温度が低いと、衣はすぐにプワッと浮き上がらず、油をたくさん吸ってしまってベタッとした食感になりやすいですよ。

天ぷらの衣がサクッと揚がるメカニズムは、油の高温によって衣の水分が急速に蒸発し、衣の組織が固まることにあります。150℃という温度では、衣の水分が十分に素早く蒸発しないため、衣が油の中に沈んだままとなり、油を必要以上に吸収してしまいます。このため、衣が油っぽく、柔らかい(ベタついた)食感になってしまいます。

ポイント

  • 低温(150~160℃): じっくり火を通したい根菜類や、焦げやすいドーナツなどに使われます。衣は水分が抜けにくく、しっとりとした仕上がりになりがちです。

  • 中温(160~170℃): 一般的な揚げ物によく使われる温度です。衣が適度に固まり、中まで火が通りやすくなります。

  • 高温(170~180℃以上): 短時間でサッと火を通したい魚介類や、カリッと仕上げたい天ぷらフライなどに使われます。高温で揚げることで衣の水分が素早く蒸発し、カラッとした食感になります。温度が低いと衣が油を吸いすぎてベタつく原因になりますよ。

⭕️(3) 魚介の天ぷらの揚げ油の適温は、ドーナッツよりも高い。

魚介の天ぷらは、短時間で身に火を通しつつ衣をサクサクにするために、高めの温度(170~180℃くらい)で揚げます。一方、ドーナツは焦げ付かないように、もう少し低めの温度(160~170℃くらい)でじっくり揚げることが多いんです。

揚げ物の適温は、食材の種類や求める食感によって異なります。魚介類は火の通りが比較的早く、また風味を損なわないためにも短時間で揚げるのが一般的です。高温で揚げることで、衣は瞬時に固まり、食材の中心部に熱が伝わる前に表面がパリッと仕上がります。

これにより、魚介本来のジューシーさを保ちつつ、衣は軽い食感になります。

✖️(4) フライドポテトの揚げ油の適温は、200°C程度である。

フライドポテトを200℃という高温で揚げると、すぐに焦げてしまったり、外は真っ黒なのに中が生焼けになったりすることがあります。適温は170~180℃くらいですよ。

フライドポテトは、じゃがいものデンプン質を美味しく揚げるために、適切な温度管理が重要です。200℃という非常に高い温度で揚げると、じゃがいもの表面が急速に焦げ付き、メイラード反が過剰に進んでしまいます。

メイラード反応

メイラード反応は、お肉を焼いたり揚げ物をしたりするときに、食材のアミノ酸やタンパク質と糖が熱で結びついて、香ばしい「焼き色」や「良い香り」が生まれる現象です。この反応があるからこそ、揚げ物がこんがり美味しそうに見えたり、食欲をそそる良い香りがしたりする。

メイラード反応が過剰に反応すると食材が焦げ付いてしまったり、苦味や不快な臭いが発生したりすることがあります。

これにより、外側は焦げて苦味が生じる一方で、中心部まで熱が十分に伝わらず、生の食感が残ってしまう可能性が高まります。

✖️(5) ポテトチップスの吸油率は、かき揚げよりも高い。

ポテトチップスは薄く、油に入れる時間が短いので、実は油をあまり吸いません。それに対してかき揚げは、衣の量が多くて、具材と具材の間に油が入り込みやすいので、ポテトチップスよりもたくさん油を吸いやすいんです

吸油率

「吸油率」は、揚げ物がどれくらいの油を吸い込むかを示す割合で、食材の表面積、形状、衣の有無、揚げ時間など、さまざまな要因によって大きく変動します。

ポテトチップスは非常に薄くスライスされているため、水分が素早く蒸発し、揚げ時間が短くて済みます。これにより、油に接する時間が短く、吸油率は比較的低く抑えられます。

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