管理栄養士国家試験問題・解説

第39回【42問目】感染症に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

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第39回管理栄養士国家試験(42問目)

人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

第39回【42問目】感染症に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1) 日和見感染とは、感染しても症状が現れない場合をいう。

(2) ブドウ球菌は、グラム陰性菌である。

(3) 帯状疱疹の病原体は、単純ヘルペスウイルスである。

(4) 劇症型溶連菌感染症は、再興感染症である。

(5) 発疹チフスの病原体は、クラミジアである。

厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf

第39回【42問目】感染症に関する問題、解説スタート!

この問題の正解は、(4) 劇症型溶連菌感染症は、再興感染症である。 です!

黒アザラシ
黒アザラシ
なんでこれが正解で、他の選択肢は違うの??

しろくまさん
しろくまさん
じゃあ、一つずつ詳しく見ていこうね!

【42問目】感染症に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

✖️(1) 日和見感染とは、感染しても症状が現れない場合をいう。

「日和見」というのは、状況を見て態度を変えるという意味ですね。病原体にとって、宿主(私たち)の免疫力が弱くなった「チャンス」を見計らって感染を起こすことからこの名前がついています。
例えば、抗がん剤治療を受けている方や、免疫抑制剤を服用している方、高齢で免疫力が低下している方、HIV感染者などが日和見感染を起こしやすいです。

原因となる菌は、カンジダ(真菌)、ニューモシスチス(真菌)、サイトメガロウイルス(ウイルス)、緑膿菌(細菌)など、実に様々です。
選択肢にあった「感染しても症状が現れない場合」は、「不顕性感染(ふけんせいかんせん)」といいます。これと日和見感染を混同しないように注意しましょう。

✖️(2) ブドウ球菌は、グラム陰性菌である。

ブドウ球菌はグラム陽性菌です。

細菌の分類には、「グラム染色」という方法がよく使われます。
これは、細菌の細胞壁の構造の違いを利用して、紫色に染まるものを「グラム陽性菌」、赤色に染まるものを「グラム陰性菌」に分類する方法です。

グラム陽性菌とグラム陰性菌

グラム陽性菌:細胞壁が厚く、ペプチドグリカン層が発達しています。ブドウ球菌、レンサ球菌、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などが代表的です。
グラム陰性菌:細胞壁の外側に外膜があります。大腸菌、サルモネラ菌、緑膿菌、インフルエンザ菌などが代表的です。

この分類は、感染症の診断や、どの抗菌薬(抗生物質)が効くかを判断する上で非常に重要になります。ブドウ球菌は食中毒の原因菌としても有名なので、覚えておきましょう。

✖️(3) 帯状疱疹の病原体は、単純ヘルペスウイルスである。

帯状疱疹の原因は「水痘・帯状疱疹ウイルス」です。

帯状疱疹は、子供の頃にかかった水ぼうそう(水痘)のウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が、実は体の中に潜んでいて、大人になって免疫力が落ちた時に再び活性化して起こる病気です。

神経に沿って痛みと発疹が出るのが特徴で、非常につらい病気です。

選択肢にあった「単純ヘルペスウイルス」、口の周りにできる「口唇ヘルペス」や、性器ヘルペスの原因となるウイルスです。どちらもヘルペスウイルス科のウイルスですが、種類が異なります。

(4) 劇症型溶連菌感染症は、再興感染症である。

劇症型溶連菌感染症

劇症型溶連菌感染症は、「人食いバクテリア」と呼ばれることもあるほど進行が速く、致死率も高い恐ろしい病気です。
溶連菌自体は一般的な菌ですが、何らかの原因で突然変異を起こしたり、宿主の免疫状態などによって、劇症化すると考えられています。近年、日本を含む世界中で患者数が増加傾向にあり、再興感染症として注目されています。

「感染症」は、その発生状況によっていくつか分類されます。

状況
不顕性感染 感染はしているが、病気として発症していない ノロウイルス感染(無症状キャリア)
新興感染症 これまでになかった、または広がりがなかった病気 COVID-19、SARS、MERS
再興感染症 一度減ったが、また問題になってきた病気 結核、劇症型溶連菌感染症、マラリア

(5) 発疹チフスの病原体は、クラミジアである。

発疹チフスの病原体は「リケッチア」という細菌です。

発疹チフスとは

発疹チフスは、主にシラミを介して感染する疾患で、発熱や発疹、頭痛などが特徴です。
かつては戦争や飢饉の際に大流行し、多くの死者を出した歴史があります。

その病原体はリケッチアという特殊な細菌です。リケッ、一般的な細菌とは異なり、生きた細胞の中でしか増殖できない「偏性細胞内寄生性」という性質を持っています。そのため、ウイルスと細菌の中間的な性質を持つとも言われます。

「クラミジア」もリケッチアと同様に偏性細胞内寄生性の細菌ですが、発疹チフスとは異なる疾患(性感染症であるクラミジア感染症や、オウム病など)の原因となります。

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