第39回管理栄養士国家試験(40問目)
人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
第39回【40問目】血液疾患に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1) 鉄欠乏性貧血では、血清フェリチン値が上昇する。
(2) 再生不良性貧血では、骨髄の過形成がみられる。
(3) 溶血性貧血では、血中の網赤血球が減少する
(4) 血友病 A は、第IX因子の異常である。
(5) 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)では、抗血小板抗体が認められる。
厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf
第39回【40問目】血液疾患に関する問題、解説スタート!
この問題の正解は、 (5) 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)では、抗血小板抗体が認められる。です!


【40問目】血液疾患に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
✖️(1) 鉄欠乏性貧血とフェリチン値が上昇する。
鉄欠乏性貧血とは
鉄欠乏性貧血は、体内の鉄が不足することで、ヘモグロビン(赤血球の中にあって酸素を運ぶタンパク質)が十分に作られなくなり起こる貧血です。
フェリチンとは、体内で鉄を貯蔵しておくタンパク質です。肝臓や脾臓、骨髄などに多く存在し、血液中にも微量ながら存在します。
血清フェリチン値は、体内の貯蔵鉄量を反映する非常に良い指標となります。鉄が不足すれば、当然貯蔵鉄も減るので、血清フェリチン値は低下します。
ただし、フェリチンは炎症や感染症などがある場合にも上昇することがあるため(急性期反応物質)、その際は貯蔵鉄の指標としては注意が必要です。
✖️(2) 再生不良性貧血(さいせいふりょうせいひんけつ)の骨髄の過形成がみられる。
再生不良性貧血とは
再生不良性貧血は、骨髄にある造血幹細胞(血液細胞の元となる細胞)が障害され、赤血球、白血球、血小板のすべてが十分に作られなくなる病気です。
「再生不良性」という名前の通り、血液を「再生」する能力が「不良」になってしまうんです。
正常な骨髄では、活発に血液細胞が作られているため、細胞がたくさん詰まっています(過形成)。
しかし、再生不良性貧血では、血液細胞を作る機能が低下しているので、骨髄の細胞がスカスカになり、「低形成(無形成)」が特徴的に見られます。
治療としては、免疫抑制療法や造血幹細胞移植などが行われます。
✖️(3) 溶血性貧血(ようけつせいひんけつ)と網赤血球が減少する。
溶血性貧血とは
溶血性貧血は、赤血球が何らかの原因で通常よりも早く壊れてしまう(溶血する)ことで起こる貧血です。遺伝性のもの(例:遺伝性球状赤血球症)や、自己免疫性のものなど、様々な原因があります。
体が貧血状態になると、骨髄は「もっと赤血球を作らなきゃ!」と頑張り、未熟な赤血球である網赤血球(もうせっけっきゅう)をたくさん血液中に送り出します。
そのため、溶血性貧血の患者さんでは、血液検査で網赤血球数が増加していることが特徴的な所見となります。これは、骨髄の造血機能が亢進していることを示しています。
✖️(4) 血友病 A は、第IX因子の異常である。
血友病
血友病は、血液を固めるために必要な凝固因子が生まれつき欠けている、または量が少ないために、出血が止まりにくくなる遺伝性の病気です。
血液の凝固には、いくつものタンパク質(凝固因子)がリレーのように働く「血液凝固カスケード」という仕組みがあります。その中の特定の因子が欠損することで出血傾向になります。
ポイント
血友病Aは、第VIII(8)因子の欠損または機能異常によるものです。
血友病Bは、第IX(9)因子の欠損または機能異常によるものです。
どちらもX染色体連鎖劣性遺伝(男性に多く見られる遺伝形式)です。
⭕️(5) 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)では、抗血小板抗体が認められる。
特発性血小板減少性紫斑病
特発性血小板減少性紫斑病(Idiopathic Thrombocytopenic Purpura; ITP)は、血小板の数が減ってしまうことで、出血しやすくなる病気です。
「特発性」とあるように、原因がはっきりしない場合が多いですが、多くの場合は自己免疫疾患と考えられています。
つまり、自分の免疫システムが、間違って自分の血小板を異物とみなして攻撃し、破壊してしまうために血小板が減少します。この攻撃をするものが「抗血小板抗体」です。
血小板が減少すると、皮膚に小さな点状の出血(点状出血)や、あざ(紫斑)ができやすくなるのが特徴です。鼻血や歯ぐきからの出血なども見られます。
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