管理栄養士国家試験問題・解説

第39回【34問目】呼吸器系の構造と機能に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

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第39回管理栄養士国家試験(34問目)

人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

第39回【34問目】呼吸器系の構造と機能に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1) 呼吸中枢は、大脳皮質に存在する。

(2) 気管支平滑筋は、副交感神経の興奮で弛緩する。

(3) 横隔膜は、吸気時に収縮する。

(4) 内呼吸は、肺胞で行われるガス交換である。

(5) 肺活量は、1回換気量と残気量の和である。

厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf

第39回【34問目】呼吸器系の構造と機能に関する問題、解説スタート!

この問題の正解は、(3) 横隔膜は、吸気時に収縮する。です!

黒アザラシ
黒アザラシ
なんでこれが正解で、他の選択肢は違うの??

しろくまさん
しろくまさん
じゃあ、一つずつ詳しく見ていこうね!

【34問目】呼吸器系の構造と機能に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

✖️(1) 呼吸中枢は、大脳皮質に存在する。

呼吸の司令塔である呼吸中枢は、脳の「延髄(えんずい)」と「橋(きょう)」という場所にあります。大脳皮質は、意識的な思考や運動を司る場所なので、違いますよ。
呼吸は、意識しなくても自動的に行われる生命維持に不可欠な機能です。この自動的な呼吸運動を制御しているのが、脳幹部にある呼吸中枢です。

具体的には、延髄には呼吸のリズムを形成する神経細胞群(延髄呼吸中枢)が、にはそのリズムを調節する神経細胞群(橋呼吸中枢)が存在します。
大脳皮質は、一時的に呼吸を止めたり深く呼吸したりといった意識的な呼吸運動に関わりますが、呼吸中枢そのものは脳幹にあります。

✖️(2) 気管支平滑筋は、副交感神経の興奮で弛緩する。

副交感神経は、体をリラックスさせる神経ですが、気管支に対しては、気管支をキュッと縮める(収縮させる)働きがあります。だから、この記述は間違いですね。気管支を広げるのは交感神経の役割です。

気管支の太さは、自律神経系によって調節されています。

自律神経と気管支

副交感神経の興奮アセチルコリンを介して気管支平滑筋を収縮させ、気道を狭くします。これは、アレルギー反応や喘息などで見られる気管支収縮のメカニズムの一部でもあります。
交感神経の興奮ノルアドレナリンを介して気管支平滑筋を弛緩させ、気道を広げます。運動時など、より多くの酸素が必要なときに気道を広げて、空気の通りを良くします。

したがって、副交感神経の興奮は気管支平滑筋を弛緩させるのではなく、収縮させます。

⭕️(3) 横隔膜は、吸気時に収縮する。

息を吸う時(吸気)には、お腹と胸の間にあるドーム型の筋肉「横隔膜」がキュッと縮んで平らになり、胸腔(肺が入っている空間)が広がります。これによって肺に空気が入ってきます。

呼吸運動は、主に横隔膜と肋間筋の動きによって行われます。

吸気時横隔膜が収縮して下がり外肋間筋が収縮して肋骨を持ち上げることで、胸腔の容積が拡大します。これにより、胸腔内の圧力が低下し、大気圧との差が生じて、空気が肺の中に入り込みます。
呼気時横隔膜や外肋間筋が弛緩することで、胸腔の容積が縮小し、肺の中の空気が体外に押し出されます。安静時の呼気は受動的な運動ですが、努力呼気時には内肋間筋や腹筋が収縮して、より強く空気を押し出します。

✖️(4) 内呼吸は、肺胞で行われるガス交換である。

肺胞で行われるガス交換は「外呼吸」と呼ばれます。体中の細胞で行われるガス交換が「内呼吸」です。

ガス交換には「外呼吸」と「内呼吸」の2種類があります。

ポイント

外呼吸(肺呼吸)肺胞と肺毛細血管の間で行われるガス交換です。肺胞の空気から酸素が血液中に取り込まれ、血液中の二酸化炭素が肺胞へ排出されます。
内呼吸(組織呼吸、細胞呼吸)全身の組織細胞と毛細血管の間で行われるガス交換です。血液中の酸素が組織細胞に供給され、組織細胞で生じた二酸化炭素が血液中に取り込まれます。

したがって、肺胞で行われるガス交換は外呼吸です。

⭕️(5) 肺活量は、1回換気量と残気量の和である。

肺活量は、目いっぱい息を吸い込んで、目いっぱい吐き出せる空気の量のことです。
1回換気量(通常の呼吸量)に加えて、努力して吸える量と努力して吐き出せる量を合わせたものです。残気量(頑張って吐いても肺に残る空気の量)は、肺活量には含まれません。

肺容量にはいくつか定義があります。

肺容量の定義

1回換気量(Tidal Volume: TV):安静時の1回の呼吸で出入りする空気の量(約500mL)。
予備吸気量(Inspiratory Reserve Volume: IRV):通常の吸気の後に、さらに吸い込める最大の空気の量
予備呼気量(Expiratory Reserve Volume: ERV):通常の呼気の後に、さらに吐き出せる最大の空気の量
残気量(Residual Volume: RV):最大限に息を吐き出した後でも、肺の中に残ってしまう空気の量。
肺活量(Vital Capacity: VC):最大限に息を吸い込んだ後、最大限に吐き出せる空気の量です。

これは、肺活量=1回換気量+予備吸気量+ 予備呼気量で表されます。 残気量は、肺活量とは区別される肺容量であり、肺活量には含まれません。

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