管理栄養士国家試験問題・解説

第39回【21問目】酸塩基平衡に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

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第39回管理栄養士国家試験(21問目)

人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

第39回【21問目】酸塩基平衡に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ

(1) 過換気症候群では、呼吸性アシドーシスになる。

(2) COPD では、呼吸性アルカローシスになる。

(3) 大量の嘔吐では、代謝性アシドーシスになる。

(4) 原発性アルドステロン症では、代謝性アシドーシスになる。

(5) 腎不全では、代謝性アシドーシスになる。

厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf

第39回【21問目】酸塩基に関する問題、解説スタート!

この問題の正解は、(5) 腎不全では、代謝性アシドーシスになる。です!

黒アザラシ
黒アザラシ
なんでこれが正解で、他の選択肢は違うの??

しろくまさん
しろくまさん
じゃあ、一つずつ詳しく見ていこうね!

第39回【21問目】酸塩基平衡に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ

✖️(1) 過換気症候群では、呼吸性アシドーシスになる。

過換気症候群は、息をハーハーと速くたくさん吸い込みすぎちゃう病気。
これで体から二酸化炭素(酸っぱいもの)が逃げすぎちゃうので、呼吸性アルカローシスになります。アシドーシスとは逆の状態ですよ。

呼吸は、体内の二酸化炭素(CO2)の量を調整することで、血液のpH(酸性度)を保っています。
CO2は体内で水と結合して炭酸(H2CO3)になり、これが水素イオン(H+)と重炭酸イオン(HCO3−)に分かれることで、酸性側に傾かせます。
過換気症候群では、異常に呼吸が速く深くなるため、CO2が過剰に排出されてしまいます。
体内のCO2が減ると、血液中の酸が減るため、pHが上昇して「呼吸性アルカローシス」となるわけです。

✖️(2) COPD では、呼吸性アルカローシスになる。

COPDとは

タバコの煙など有害な物質を長期間吸い込むことで、肺や気管支に炎症が起こり、空気の出し入れがうまくいかなくなる病気です

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、肺の病気で息がうまく吐き出せなくなっちゃうことが多いんです。
つまり気道の狭窄や肺胞の破壊などにより、呼気(息を吐くこと)が障害されます。

すると、体の中に二酸化炭素(酸っぱいもの)がたまってしまい、呼吸性アシドーシスになります。

そのため、体内で産生されたCO2を十分に排出できなくなり、血液中にCO2が蓄積します。CO2が蓄積すると、血液中の炭酸が増え、結果として水素イオン(H+)が増加するため、pHが低下して「呼吸性アシドーシス」を引き起こします。

✖️(3) 大量の嘔吐では、代謝性アシドーシスになる。

大量の嘔吐をすると、胃から強い酸である「胃酸」がどんどん出ていっちゃいますよね。体が酸を失うので、残った血液は酸性が弱くなり、代謝性アルカローシスになります。
胃液には多量の塩酸(HCl)が含まれています。
大量の嘔吐が続くと、この胃酸が体外に排出されるため、体内の水素イオン(H+)が失われます。これにより、血液中のH+濃度が低下し、相対的にアルカリ性側に傾くため、「代謝性アルカローシス」が起こります。同時に、体液量の減少や電解質異常(特にカリウムの喪失)も併発しやすいのが特徴です。

✖️(4) 原発性アルドステロン症では、代謝性アシドーシスになる。

原発性アルドステロン症は、体をアルカリ性にするアルドステロンというホルモンが多すぎちゃう病気。
このホルモンが増えすぎると、体が酸(水素イオン)をどんどん尿として出しちゃうので、結果として代謝性アルカローシスになります。

原発性アルドステロン症

原発性アルドステロン症は、副腎からアルドステロンというホルモンが過剰に分泌される病気です。アルドステロンは、腎臓の集合管においてナトリウムの再吸収を促進し、同時にカリウムと水素イオン(H+)の排泄を促進する働きがあります。

アルドステロンの過剰分泌により、体内のH+が尿中に排泄されすぎると、血液中のH+濃度が低下し、結果として「代謝性アルカローシス」を引き起こします。低カリウム血症も特徴的です。

⭕️(5) 腎不全では、代謝性アシドーシスになる。

腎臓が悪くなると、体の中の余分な酸(水素イオンなど)や老廃物をうまく排泄できなくなっちゃいます。すると、酸が体にたまってしまい、代謝性アシドーシスになります。
腎臓は、体内の酸塩基平衡を維持する上で非常に重要な臓器です。
腎臓は、代謝によって産生される非揮発性酸(タンパク質代謝産物など)を排泄したり、重炭酸イオン(HCO3−)を再吸収したり、新しい重炭酸イオンを産生することで、血液のpHを正常に保っています。
しかし、腎不全になるとこれらの機能が低下するため、酸の排泄が不十分になり、重炭酸イオンの再吸収や産生も障害されます。結果として、体内に酸が蓄積し、血液中のpHが低下する「代謝性アシドーシス」を発症します。これは腎不全の代表的な合併症の一つです。

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