第39回管理栄養士国家試験(45問目)
食べ物と健康
第39回【45問目】肉類に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ
(1) と畜後、グリコーゲンが嫌気的に分解されることで、pH が上昇する。
(2) 鶏肉の0~4°C における最大死後硬直期までの時間は、牛肉より長い。
(3) と畜後、アクトミオシンが形成されると、肉質は軟化する。
(4) 熟成中に ATP が増加することで、うま味が増す。
(5) メトミオグロビンにおけるヘム中の鉄イオンは、3価である。
厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf
第39回【45問目】肉類に関する問題、解説スタート!
この問題の正解は、(5) メトミオグロビンにおけるヘム中の鉄イオンは、3価である。です!


第39回【45問目】肉類に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ
✖️(1) と畜後、グリコーゲンが嫌気的に分解されることで、pH が上昇する。
肉を処理した後、グリコーゲン(動物のデンプン)が分解されると乳酸が作られます。乳酸は酸性なので、pHは下がります。
動物がと畜されると、酸素の供給が止まります。
すると、筋肉中のグリコーゲンは酸素を使わない「嫌気的解糖」という方法で分解され、最終的に乳酸が生成されます。
この乳酸が筋肉中に蓄積することで、pHが低下(酸性化)します。このpHの低下は、肉の保存性や品質に影響を与える重要なプロセスです。
✖️(2) 鶏肉の0~4°C における最大死後硬直期までの時間は、牛肉より長い。
鶏肉は、牛肉に比べて死後硬直が始まるまでの時間が短いです。
死後硬直
死後硬直とは、と畜後、筋肉中のATP(アデノシン三リン酸)が減少することで筋肉が収縮し硬くなる現象です。
このATPの減少スピードは動物の種類や筋肉の特性によって異なり、一般的に小さな動物ほど早くATPが枯渇します。
そのため、鶏肉のような小型の動物は、牛肉や豚肉といった大型の動物に比べて、死後硬直が早く進行します。
鶏肉・豚肉・牛肉の死後硬直期の他に、脂肪の融点や熟成スピードなど頻出ですのできっちり見ときましょう!
✖️(3) と畜後、アクトミオシンが形成されると、肉質は軟化する。
アクトミオシンが形成されると、筋肉の繊維が強く結合して肉は硬くなります。これは死後硬直の主な原因です。
筋肉の収縮には、アクチンとミオシンというタンパク質が関わっています。生体内ではATPの働きでこれらのタンパク質が離れたり結合したりを繰り返しますが、と畜後にATPがなくなると、アクチンとミオシンが強く結合した「アクトミオシン」という状態になり、これが筋肉を硬くします。
この状態が死後硬直です。
その後、肉が軟化するのは、熟成によって酵素が筋肉の組織を分解するためです。
✖️(4) 熟成中に ATP が増加することで、うま味が増す。
熟成中に増えるのはATPではなく、ATPが分解されてできるイノシン酸などのうま味成分です。ATPはむしろ減少します。
肉の熟成
肉の熟成とは、と畜後に筋肉が持つ酵素の働きで、タンパク質や脂質、核酸などが分解され、うま味や香りが増し、肉質が柔らかくなる現象です。
ATPは死後硬直の過程で減少していきますが、その分解産物であるイノシン酸(IMP)などがうま味成分として非常に重要です。
⭕️(5) メトミオグロビンにおけるヘム中の鉄イオンは、3価である。
メトミオグロビンは、肉が鮮度を失って茶色っぽくなったときにできる色素で、鉄イオンが3価になっています。
肉の色を決める主な色素は「ミオグロビン」です。
新鮮な肉のミオグロビンは、ヘム中の鉄イオンが2価(Fe2+)の状態で、酸素と結合すると鮮やかな赤色(オキシミオグロビン)になります。
しかし、長時間空気に触れたり、熱が加わったりすると、この2価の鉄イオンが酸化されて3価(Fe3+)になり、メトミオグロビンという褐色色素に変化します。これが肉が古くなると茶色っぽくなる理由です。
肉類の特徴でこれだけは押さえよう!
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