管理栄養士国家試験問題・解説

第39回【44問目】きのこ類に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

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第39回管理栄養士国家試験(44問目)

食べ物と健康

第39回【44問目】きのこ類に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1) 干ししいたけの香りの主成分は、ヌートカトンである。

(2) まつたけの香りの主成分は、ノナジエノールである。

(3) きくらげは、7─デヒドロコレステロールを含む。

(4) 傘が7割程度開いた肉厚の干ししいたけを、どんこ(冬菇)という。

(5) トリュフは、コナラなどの原木で栽培される。

厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf

第39回【44問目】きのこ類に関するに関する問題、解説スタート!

この問題の正解は(4) 傘が7割程度開いた肉厚の干ししいたけを、どんこ(冬菇)という。です!

黒アザラシ
黒アザラシ
なんでこれが正解で、他の選択肢は違うの??

しろくまさん
しろくまさん
じゃあ、一つずつ詳しく見ていこうね!

第39回【44問目】きのこ類に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
✖️(1) 干ししいたけの香りの主成分は、ヌートカトンである。

干ししいたけの香り成分は「レンチオニン」が有名だよ!ヌートカトンはグレープフルーツの香り成分なんだ。全然違うよね!

干ししいたけを水で戻すと、独特のいい香りがしますよね。この香りの主役は「レンチオニン」という硫黄化合物です。
しいたけに含まれる「レンチオニン酸」という成分が、酵素の働きで分解されることでレンチオニンが生成されます。レンチオニンは、加熱するとさらに香り立つ特性があるんですよ。

黒アザラシ
黒アザラシ
確かに、しいたけを使った汁物はいい匂いだもんね〜

一方、選択肢にある「ヌートカトン」は、グレープフルーツの香りの主要成分として知られていて、柑橘系の香りを想像してもらうと、しいたけとは全く異なることがわかると思います。

⭕️(2) まつたけの香りの主成分は、ノナジエノールである。

: まつたけの独特の香り、あれは「1-オクテン-3-オール」と「マツタケオール(1-オクテン-3-オール)」や「シス-3,シス-6-ノナジエノール」などの化合物が合わさったものだよ!ノナジエノールもその一つなんだ。

日本の秋の味覚の王様といえば、やっぱりまつたけですよね!
あの高貴な香りは、いくつかの揮発性成分が組み合わさってできています。その中でも特に重要なのが「1-オクテン-3-オール(別名:マツタケオール)」と、「シス-3,シス-6-ノナジエノール」です。

ノナジエノールは、青葉のような、あるいはキュウリのようなフレッシュな香りを持ち、マツタケの香りを構成する重要な要素の一つなんです。したがって、ノナジエノールが香りの主成分の一つであるという記述は正しいと言えます。

✖️(3) きくらげは、7─デヒドロコレステロールを含む。

きくらげはエルゴステロールを多く含む。一方で7-デヒドロコレステロールは動物性の魚介類に多く含むことが知られています。

ビタミンD(カルシフェノール)には大きく植物性(ビタミンD2)と動物性(ビタミンD3)に分けられる。
ビタミンD2やビタミンD3になるためにはプロビタミンであるエルゴステロールや7-デヒドロコレステロールなどの前駆体に紫外線照射することで生成される。

プロビタミンとビタミンD

(プロビタミン)エルゴステロール→ビタミンD2(植物性)
        7-デヒドロコレステロール→ビタミンD3(動物性)

ビタミンD2とビタミンD3

ビタミンD2には植物性のきのこ類(干し椎茸・キクラゲ
ビタミンD3には動物性の魚介類(うなぎ・煮干し・しらす・イワシ・さけ・さんま)が含まれる

✖️(4) 傘が7割程度開いた肉厚の干ししいたけを、どんこ(冬菇)という。

傘があんまり開いてなくて、肉厚なのが「どんこ」だよ!7割くらい開いちゃったのは「こうしん」って言うんだ。

干ししいたけには、いくつかの種類があるのを知っていますか?

「どんこ(冬菇)」は、傘の開きが2~3割程度と小さく、肉厚でぷっくりとしたしいたけを指します。低温でゆっくり乾燥させることで、旨味がギュッと凝縮されるのが特徴です。

一方、傘が7~8割程度開いたものを「こうしん(香信)」と呼びます。こうしんは、どんこよりも薄手ですが、戻し時間が短く、香りが良いのが特徴です。つまり、記述はどんこの説明としては誤りです。

✖️(5) トリュフは、コナラなどの原木で栽培される。

トリュフは、人工的に育てるのがとっても難しいきのこなんだ。コナラなどの木の根っこに寄生して育つ、特別なきのこなんだよ!原木栽培はしないんだ。

世界三大珍味の一つとして知られるトリュフ。
独特の芳醇な香りは多くの人を魅了しますよね。トリュフは、しいたけやえのきのように、切り株などの原木に菌を植え付けて栽培する「原木栽培」はできません。

トリュフは「菌根菌(きんこんきん)」と呼ばれる特殊なきのこでブナ科のオーク(コナラ、クヌギなど)やヘーゼルナッツの木の根に共生して育ちます。人工栽培の試みは世界中でされていますが、非常に難しく、まだまだ天然物の採取が主流となっています。犬や豚の優れた嗅覚を使って探し出されることでも有名ですよね。

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