管理栄養士国家試験問題・解説

第39回【16問目】高齢者の介護に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

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第39回管理栄養士国家試験(16問目)

社会・環境と健康

第39回【16問目】高齢者の介護に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1) 直近の国民生活基礎調査(大規模調査年)によると、要介護者となった原因として最も多いのは、年齢にかかわらず脳卒中である。

(2) 介護保険制度における保険給付の財源は、全額が被保険者から徴収した保険料である。

(3) 介護保険制度における予防給付サービスは、要介護者が対象である。

(4) 介護老人保健施設では、医学的管理は行われない。

(5) 地域包括支援センターの業務には、権利擁護に関する業務が含まれている。

 

厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf

第39回【16問目】高齢者の介護に関する問題、解説スタート!

この問題の正解は、(5) 地域包括支援センターの業務には、権利擁護に関する業務が含まれている。 です!

黒アザラシ
黒アザラシ
なんでこれが正解で、他の選択肢は違うの??

しろくまさん
しろくまさん
じゃあ、一つずつ詳しく見ていこうね!

第39回【16問目】高齢者の介護に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

✖️(1) 直近の国民生活基礎調査(大規模調査年)によると、要介護者となった原因として最も多いのは、年齢にかかわらず脳卒中である。

「要介護になった原因」って聞くと、昔は脳卒中が多かったイメージがあるかもしれませんね。
でも、最近の調査では、脳卒中よりも「認知症「高齢による衰弱」の方が多くなっています。特に年齢が高くなるほど、この傾向は顕著なんですよ。

厚生労働省が発表している「国民生活基礎調査」の結果を見ると、要介護者等になった主な原因として、男女ともに「認知症」が最も多く、次いで「脳血管疾患(脳卒中)」や「高齢による衰弱」が挙げられています
特に高齢者全体で見ると、「認知症」が圧倒的に多く、年齢が高くなるにつれてその割合が増加します。これは、医療の進歩などで脳卒中による死亡や重度障害が減少傾向にある一方で、高齢化に伴い認知症の有病率が上昇していることが背景にあります。
なので、「年齢にかかわらず脳卒中が最も多い」という記述は誤りになります。

✖️(2) 介護保険制度における保険給付の財源は、全額が被保険者から徴収した保険料である。

介護保険の財源って、私たちや会社が払う保険料だけでまかなわれているわじゃないんです。実は、税金も使われているんですよ!
だから、全額保険料で賄われているというのは間違いです。

介護保険制度の保険給付の財源は、被保険者から徴収する「保険料」と、国や地方自治体からの「公費(税金)」の組み合わせで成り立っています。
具体的には、保険料が約50%、公費が約50%の割合で分担されています。公費の内訳は、国、都道府県、市町村がそれぞれ負担しています。
これは、介護が必要な人を社会全体で支えていこうという考え方に基づいているため、保険料だけで賄うのではなく、税金も投入されているんですね。

✖️(3) 介護保険制度における予防給付サービスは、要介護者が対象である。

「予防給付」って言葉の通り、「介護が必要になるのを防ぐ」ためのサービスなんです。
だから、すでに「要介護」認定を受けている人ではなく、「要支援」認定を受けている人が対象になります。介護が必要になる前の段階でサポートするイメージですね。

介護保険制度における給付は、大きく分けて「介護給付」と「予防給付」があります。

ポイント

「介護給付」は要介護認定を受けた人が対象ですが、
「予防給付」は「要支援1」または「要支援2」の認定を受けた人が対象となります。


予防給付の目的は、心身機能の維持向上や、これ以上状態が悪くならないようにすること、そして介護が必要な状態になることを予防することです。介護予防サービスを利用することで、自立した生活を長く続けられるように支援しています。

項目 介護給付 予防給付
目的 要介護状態の維持・悪化防止 要介護状態への進行予防・自立支援
対象者 要介護1〜5の認定を受けた方 要支援1・2の認定を受けた方
サービス 日常生活の支援、リハビリ、福祉用具、施設サービスなど多岐にわたる 日常生活の支援、介護予防のためのリハビリなどが中心
支給限度額 予防給付よりも高い 介護給付よりも低い

✖️(4) 介護老人保健施設では、医学的管理は行われない。

「介護老人保健施設」って名前の中に「保健」って入っていますよね。ここは、病院から家に帰る準備をする場所のようなイメージです。
だから、医師や看護師がいて、医学的なケアもしっかり行われます。行われない、は間違いです!

介護老人保健施設(老健)は、病院での治療を終えて病状が安定し、自宅に戻ることを目指している高齢者が、リハビリテーションや看護・介護を受けながら在宅復帰できるよう支援する施設です。
そのため、医師や看護師が常駐しており、入所者の病状に応じた医学的な管理や治療、健康管理が行われます。
また、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などによる専門的なリハビリテーションも提供されます。一時的な入所を目的とした施設であり、医学的管理が重要な役割を担っています。

⭕️(5) 地域包括支援センターの業務には、権利擁護に関する業務が含まれている。

地域包括支援センターは、高齢者の皆さんを地域で支えるための大切な拠点です。
困っている高齢者がいたら、その方の権利を守るために、虐待の早期発見や成年後見制度の利用支援など、いろんなサポートをしてくれます。これはバッチリ、業務に含まれます!

地域包括支援センターは、地域の高齢者の皆さんの生活を総合的に支えるための拠点として、市町村が設置しています。その業務は多岐にわたり、以下の4つの主要な業務が含まれています。

地域包括支援センターの業務
総合相談支援業務 高齢者の暮らし全般に関する相談を受け付け、必要なサービスや制度につなげる。
権利擁護業務 高齢者虐待の防止や早期発見・対応、悪質な訪問販売など消費者被害の防止、成年後見制度の活用支援など、高齢者の権利を守るための支援を行う。
包括的・継続的ケアマネジメント支援業務 地域のケアマネージャーへの支援や、地域の多職種連携を推進し、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるような体制づくりを行う。
介護予防ケアマネジメント業務 要支援認定を受けた高齢者や、介護が必要になる可能性のある高齢者に対し、介護予防サービス計画(ケアプラン)を作成し、介護予防を支援する。

このように、権利擁護に関する業務は、地域包括支援センターの重要な役割の一つであり、高齢者が安心して暮らせる社会を築くために不可欠な業務です。

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