第39回管理栄養士国家試験(51問目)
食べ物と健康
第39回【51問目】自然毒食中毒に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1) テトロドトキシンは、煮沸処理により無毒化される。
(2) トリカブトによる食中毒の原因物質は、リコリンである。
(3) じゃがいもによる食中毒の原因物質は、リナマリンである。
(4) イヌサフランによる食中毒の原因物質は、イルジンSである。
(5) シガテラ中毒の主症状は、ドライアイスセンセーションである。
厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf
第39回【51問目】自然食中毒に関する問題、解説スタート!
この問題の正解は、(5) シガテラ中毒の主症状は、ドライアイスセンセーションである。 です!


第39回【51問目】自然毒食中毒に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
✖️(1) テトロドトキシンは、煮沸処理により無毒化される。
テトロドトキシン(フグ毒)は、熱にとても強く、煮沸しても毒性はなくなりません。
テトロドトキシンは、フグの内臓や皮、卵巣などに含まれる非常に強力な神経毒です。
耐熱性が高く、通常の加熱調理(煮沸など)では分解されないため、フグの調理は免許を持った専門家が行う必要があります。

✖️(2) トリカブトによる食中毒の原因物質は、リコリンである。
トリカブトの毒の主な成分は、アコニチンというものです。
リコリンは、彼岸花などの別の植物に含まれる毒です。
トリカブトは、山菜のニリンソウやモミジガサなどと間違えられやすく、誤食による食中毒が報告されています。アコニチン系のアルカロイドは非常に強力な神経毒で、少量でも致死量に至る危険性があります。
✖️(3) じゃがいもによる食中毒の原因物質は、リナマリンである。
じゃがいもに含まれる毒は、主にソラニンやチャコニンというものです。
リナマリンは、青梅などに含まれるシアン化合物の一種です。
じゃがいもの芽や、日光に当たって緑色になった部分には、ソラニンやチャコニンといった配糖体の一種が含まれています。
これらは加熱しても分解されにくく、多く摂取すると吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの症状を引き起こすことがあります。
リナマリンは、アミグダリンなどと同様に、分解されると青酸(シアン化水素)を生成する物質です。
✖️(4) イヌサフランによる食中毒の原因物質は、イルジンSである。
イヌサフランの主な毒成分はコルヒチンです。
イルジンSは、毒キノコの一種であるドクツルタケに含まれる毒です。
イヌサフランは、食用と間違えやすい植物の一つで、ギョウジャニンニクなどと誤食されることがあります。
コルヒチンは細胞分裂を阻害する作用があり、摂取すると激しい下痢や嘔吐、臓器障害などを引き起こし、重症化すると死に至ることもあります。
⭕️(5) シガテラ中毒の主症状は、ドライアイスセンセーションである。
これが正解です!シガテラ中毒の特徴的な症状の一つに「ドライアイスセンセーション」があります。
シガテラ中毒は、熱帯・亜熱帯のサンゴ礁域に生息する魚が、毒性を持つ藻類を食べ、その毒(シガトキシンなど)を体内に蓄積することで起こる食中毒です。
ドライアイスセンセーションとは
ドライアイスセンセーションとは、冷たいものに触れると電気が走るような、あるいは焼けるような感覚を覚える知覚異常で、シガテラ中毒の非常に特徴的な神経症状です。
他にも、下痢、嘔吐、腹痛などの消化器症状や、関節痛、倦怠感などの症状が見られますが、ドライアイスセンセーションは診断の重要な手がかりとなります。

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