第39回管理栄養士国家試験(83問目)
応用栄養学
第39回【83問目】日本人の食事摂取基準(2020 年版)における基本的事項に関する記述である。 最も適当なのはどれか。1つ選べ。
⑴ DG の設定で対象とした生活習慣病の1つに、COPD がある。
⑵ DG には、エビデンスレベルが付されている。
⑶ 単糖は、AI が設定されている。
⑷ 参照体位は、性・年齢区分別の望ましい体位である。
⑸ 習慣的な摂取を把握するための期間は、3日間程度とされている。
第39回【83問目】日本人の食事摂取基準(2020年版)における基本的事項に関する問題、解説スタート!
この問題の正解は、(2) DGには、エビデンスレベルが付されている。 です!


指標 | 目的 |
EAR(推定平均必要量) | 当該集団に属する50%の者が満たすと推奨される摂取量 |
RDA(推奨量) | 当該集団に属するほとんど(97%~98%)の者が満たすと推奨される摂取量 |
AI(目安量) | 十分な科学的根拠が得られず、EAR・RDAが算定できない場合に算定する者である |
UL(耐容上限量) | 健康障害をもたらすリスクがないとみなされる摂取量の上限 |
DG(目標量) | 生活習慣病の発症予防を目的として、日本人が目標とする摂取量 |
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書を参照(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html)
第39回【83問目】日本人の食事摂取基準(2020 年版)における基本的事項に関する記述である。 最も適当なのはどれか。1つ選べ。
✖️(1) DG の設定で対象とした生活習慣病の1つに、COPD がある。
DGの設定で対象とした生活習慣病の1つに、COPDは含まない。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で、目標量(DG)が設定された生活習慣病は、高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病(CKD)を指します。
今回問題に記載されていたCOPD(慢性閉塞性肺疾患)は対象に含まれていません 。
日本人の食事摂取基準(2025年版)で変わったこと
日本人の食事摂取基準は2025年に、変更されました。
しかし、2025年版も食事摂取基準で示す生活習慣病は以下の5つです
- 高血圧
- 脂質異常症
- 糖尿病
- 慢性腎臓病
変わったこととしては、2020年版では生活習慣病予防のみでしたが、
『日本人の食事摂取基準(2025年版)』の目的が
生活習慣病や生活機能の維持・向上に係る疾患の発症予防・重症化予防
になった。
ここで当たる生活機能の維持・向上に係る疾患に当てはまるのが以下の疾患である
- 骨粗鬆症
また、生活習慣病の重症化予防及びフレイル予防を目的として設定できる基準については目標量(DG)と区別して示されている。
⭕️(2) DG には、エビデンスレベルが付されている。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の大きな特徴の一つです 。
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、目標量(DG)が、どれくらいの科学的な根拠に基づいて設定されたのかを「エビデンスレベル」として示すようになりました 。
✖️(3) 単糖は、AI が設定されている。
単糖は、AIが設定されていない。個別の糖質に関しては設定されていない。
「食事摂取基準」では、単糖(ブドウ糖など)のような個別の糖質に対して、目安量(AI)は設定されていません 。
代わりに、炭水化物全体として、1日に摂るべきエネルギーの何パーセントを占めるべきかという「目標量(DG)」が示されています 。
糖質の細かい分類に関して記載されていない理由として、食品に含まれるさまざまな糖質を一つひとつ測って基準を作るのが難しいからです。
炭水化物の設定方法
炭水化物・たんぱく質・脂質に関しては、エネルギー産生バランスの指標を用いれられている。
エネルギー産生バランスとは
たんぱく質・脂質・炭水化物のエネルギー産生栄養素が、総エネルギー摂取量の中でどのくらいの割合を占めているかを示すのが構成比率である
炭水化物に関しては、総エネルギー(100%)からたんぱく質・脂質のDG(目標量)の値を引いた値を参考に設定されている。
✖️(4) 参照体位は、性・年齢区分別の望ましい体位である。
参照体位は、性・年齢区分別の日本人の平均的な体位である
「参照体位」は、「望ましい体位」を意味する言葉ではありません 。2020年版では、この言葉は「日本人の平均的な体位」を指すように改められました 。
この基準は、国民健康・栄養調査の結果に基づいて、性別や年齢ごとの平均的な身長と体重をもとに作られています 。
したがって、この基準を使う際には、平均的な体型ではない人には注意が必要であることが示されています 。
平均的な体型ではない人とは??
スポーツ選手であったり、既に疾病を持っている方に対しては「食事摂取基準」には当てはまりません。
✖️(5) 習慣的な摂取を把握するための期間は、3日間程度とされている。
「食事摂取基準」は、特定の日の食事ではなく、日々の習慣的な摂取量を前提にしています 。
「習慣的な摂取」とは、栄養素の日々の変動を考慮すると、一般的には1ヶ月程度と考えられています 。
「3日間」という期間は、国民健康・栄養調査での食事調査の期間です。
国民健康・栄養調査では実施者の負担を減らすために短く設定されています。
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