第39回管理栄養士国家試験(81問目)
基礎栄養学
第39回【81問目】35 歳、女性。身長 158 cm、体重 50 kg、BMI 20. 0 kg/m2、基礎代謝基準値 22. 0 kcal/kg 体重/日、安静時代謝量は基礎代謝量の 1. 1 倍、5. 0 メッツの活動を2時間行った。その2時間の総エネルギー消費量(kcal)として、最も適当なのはどれか。1つ選べ。
⑴ 242
⑵ 417
⑶ 458
⑷ 504
⑸ 726
第39回【81問目】35歳、女性。身長 158cm、体重 50kg、BMI 20.0kg/m2。基礎代謝基準値 22.0kacl/kg 体重/日、安静時代謝量は基礎代謝量の1.1倍。5.0メッツの活動を2時間行った。その2時間の総エネルギー消費量(kcal)を求めることに関する問題、解説スタート!
この問題の正解は、⑷ 504です!

第39回【81問目】35 歳、女性。身長 158 cm、体重 50 kg、BMI 20. 0 kg/m2。基礎代謝基準値 22. 0 kcal/kg 体重/日、安静時代謝量は基礎代謝量の 1. 1 倍。5. 0 メッツの活動を 2時間行った。その2時間の総エネルギー消費量(kcal)として、最も適当なのはど れか。1つ選べ。
総エネルギー消費量(TEE: total energy expenditure)の求め方
ココが重要!
① 総エネルギー消費量=基礎代謝量+食事誘発性体熱産生+身体活動時エネルギー消費量
または
② 総エネルギー消費量=安静時代謝×メッツ
今回は、安静時代謝量は基礎代謝量の 1. 1 倍。5. 0 メッツの活動を 2時間行った。という記述があるため②の方が優勢である。

基礎代謝量(BMR:basal metabolic rate)
基礎代謝量とは、生命を維持するために(覚醒時)必要な最小限のエネルギーのことを指します。
体温を保つこと、呼吸をすること、心臓を動かすことといった、意識しないでおき行われる活動で消費されます。
基礎代謝量は、年齢、性別、体格、筋肉量などによって個人差があります。
基礎代謝に影響する因子
- 体表面積
身体が大きい方が高い
- 体組成
筋肉が多い方が高い
- 性
男性の方が高い
- 年齢
男性が15~17歳、女性では12~14歳で最大となる
- ホルモン(甲状腺ホルモン、女性ホルモン、アドレナリン)
- 環境温度や季節
気温が寒い方が高い
- 妊娠
妊娠している方が高い
- 病態による発熱
発熱時が高い
- 栄養状態
栄養問題がなしの方の方が高い(低栄養時に低くなる)
基礎代謝量 (BMR) の計算式
基礎代謝量の計算式
基礎代謝量(kcal/日)= 基礎代謝基準値(kcal/kg/日) 体重(kg)
よって今回だと・・体重 50 kg、基礎代謝基準値 22. 0 kcal/kg 体重/日であるため
基礎代謝量(kcal/日)= 22.0 kcal/kg/日) (kg)
=1100kcal/日
安静時代謝量(REE: Resting Energy Expenditure)
安静時代謝量とは、覚醒した状態で、体を動かさずに安静にしている時に消費されるエネルギーのことです。
これは、心臓の拍動、呼吸、体温維持、細胞の代謝など、生命活動に必要なエネルギー消費量を指します。

基礎代謝量との違い
基礎代謝量と安静時代謝量はよく似ていますが、厳密には測定条件が異なります。
基礎代謝量
測定条件: 早朝の空腹時、快適な室温で、精神的にも肉体的にも完全に安静にした仰臥位(仰向け)の状態で測定します。
意味: 生命維持に最低限必要なエネルギーを指します。
安静時エネルギー消費量
測定条件: 食後2~3時間、座った状態で安静にしている時に測定します。
意味: 基礎代謝量+食事による消化・吸収に伴うエネルギー消費(食事誘発性体熱産生の一部)や、測定姿勢(座位)によるわずかなエネルギー消費も含まれます。
安静時代謝量の計算式
安静時代謝量を最も簡便な方法は、基礎代謝量に1.0~1.2倍に当たります。
この倍数は、座位安静時の活動と食事誘発性体熱産生を考慮した係数です。
安静時代謝量 =基礎代謝量× 1.0~1.2
よって今回だと・・安静時代謝量は基礎代謝量の 1. 1 倍と記載されているためであるため
安静時代謝量(kcal/日)=1100kcal/日×1.1
=1210kcal/日
そして、5. 0 メッツの活動を 2時間行ったとあるため
総エネルギー消費量=安静時代謝×メッツの式に当てはめると・・
総エネルギー消費量=1210(kcal/日)×5
=6050kcal/日
6050kcal/日は、1日の総エネルギー消費量であるため2時間だけにすると24時間中に2時間になる(2/24)ため
6050kcal/日×2/24=504.166・・・
よって答えは、⑷ 504となります。


食事誘発性体熱産生(DIT:diet-induced thermogesis)
食事誘発性体熱産生とは、食事をすることで発生するエネルギー消費のことです。
食べ物を消化・吸収し、代謝する過程で体熱が発生します。この熱産生で消費されるエネルギーがDITです。食後、体が温かくなるのを感じたことがあるかもしれませんが、それはこのDITによるものです。
食事誘発性体熱産生の計算式
DITは、通常、1日の総摂取エネルギー量の約10%と言われています。
食事誘発性体熱産生 = 摂取エネルギー量 × 0.1
ただ今回は、摂取エネルギーがわからないため食事誘発性体熱産生は求められない。
身体活動時エネルギー消費量 (AEE:activity energy expenditure)
身体活動時エネルギー消費量とは、運動や日常生活の活動で消費されるエネルギーのことを指しています。
掃除、洗濯、通勤、スポーツなど、意識的に体を動かすことで消費されます。
これは、3つの要素の中で最も変動しやすい部分であり、活動量が多い人ほど身体活動時エネルギー消費量も大きくなります。
身体活動時エネルギー消費量は、基礎代謝量に身体活動レベル (PAL) を乗じて求める方法があります。
身体活動レベルは、日中の活動量に応じて定められた係数です。
身体活動時エネルギー消費量の計算式
身体活動時エネルギー消費量= 基礎代謝量 × (PAL - 1)
ただ、今回はPALではなくメッツが指標ですので計算はできないことがわかります。
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