第39回管理栄養士国家試験(48問目)
食べ物と健康
第39回【48問目】食品の機能性成分には、消化管内で作用する機能(消化管内)と、吸収後に標的組 織で作用する機能(標的組織)とがある。食品成分の三次機能と作用する場所の組合せとして、最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1) サーデンペプチドによる血圧の降下 – 消化管内
(2) 大豆イソフラボンによる骨の健康維持 – 消化管内
(3) 難消化性デキストリンによる血糖値上昇の抑制 – 標的組織
(4) EPA による血中中性脂肪の減少 – 標的組織
(5) CPP(カゼインホスホペプチド)によるカルシウムの吸収促進 – 標的組織
厚生労働省 第39回管理栄養士国家試験の問題(午前の部)(2025) .
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001428960.pdf
第39回【48問目】食品成分の三次機能と作用する場所の組み合わせに関する問題、解説スタート!
この問題の正解は、(4) EPA による血中中性脂肪の減少 – 標的組織です!


第39回【48問目】食品の機能性成分には、消化管内で作用する機能(消化管内)と、吸収後に標的組織で作用する機能(標的組織)とがある。食品成分の三次機能と作用する場所の組合せとして、最も適当なのはどれか。1つ選べ。
✖️(1) サーデンペプチドによる血圧の降下 – 消化管内
サーデンペプチドは、体内で吸収されてから血圧を下げる作用を発揮します。消化管内だけで作用するわけではありません。
サーデンペプチド(イワシペプチド)は、血管を収縮させる酵素であるACE(アンジオテンシン変換酵素)の働きを阻害することで血圧を下げる効果があると言われています。この作用は、ペプチドが消化管で吸収され、血液中に入ってから発揮されるため、「標的組織(全身)」で作用すると考えられます。
✖️(2) 大豆イソフラボンによる骨の健康維持 – 消化管内
大豆イソフラボンは、体内で吸収されてから骨の細胞などに働きかけ、骨の健康維持に貢献します。消化管内だけで作用するわけではありません。
大豆イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似た構造を持ち、体内でエストロゲン受容体と結合することで、骨からのカルシウム溶出を抑えたり、骨形成を促したりすると考えられています。
この作用は、イソフラボンが消化管から吸収され、標的となる骨組織に到達して初めて発揮されるため、「標的組織」で作用します。
✖️(3) 難消化性デキストリンによる血糖値上昇の抑制 – 標的組織
難消化性デキストリンは、消化されずにそのまま消化管を通ることで、糖の吸収を穏やかにし、血糖値の上昇を抑えます。体内に吸収されてから作用するわけではありません。
難消化性デキストリンとは
難消化性デキストリンは食物繊維の一種で、消化酵素で分解されないため、小腸での糖の吸収を遅らせたり、大腸で腸内細菌の餌になったりします。
血糖値上昇の抑制効果は、主に小腸で糖の吸収を物理的に阻害することで得られるため、「消化管内」での作用と言えます。
⭕️(4) EPA による血中中性脂肪の減少 – 標的組織
EPAは吸収された後、肝臓などで中性脂肪の合成を抑えたり、分解を促進したりすることで、血中の中性脂肪を減らします。
EPAとは
EPA(エイコサペンタエン酸)はn-3系(オメガ3系)の多価不飽和脂肪酸で、アジや鮎、魚油に多く含まれています。
体内に吸収されたEPAは、肝臓での中性脂肪の合成酵素の活性を抑えたり、脂肪酸の酸化を促進したりすることで、血中の中性脂肪濃度を低下させると考えられています。これは血液を通じて全身に運ばれ、肝臓などの「標的組織」で作用する典型的な例です。
✖️(5) CPP(カゼインホスホペプチド)によるカルシウムの吸収促進 – 標的組織
CPPは、消化管内でカルシウムと結合し、カルシウムの吸収されやすい形を保つことで、吸収を助けます。体内に吸収されてから作用するわけではありません。
CPPとは
CPP(カゼインホスホペプチド)は、牛乳のタンパク質であるカゼインが分解されてできるペプチドです。
このCPPは、消化管内でカルシウムイオンと結合し、カルシウムが不溶性の塩になって沈殿するのを防ぎ、小腸でのカルシウムの吸収効率を高める働きがあります。したがって、これは「消化管内」で作用する例です。
-
-
第39回【50問目】食品の変質に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
第39回管理栄養士国家試験(50問目) 食べ物と健康 第39回【50問目】食品の変質に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。 (1) 食品中の生菌数が 10(3)個/g を超えると、初期腐 ...
続きを見る